今回はフランスのグラフィティアーティスト【JR】の紹介をします。
この記事を書いている段階でまだ38歳ということで、これからの活動も目が離せない世界的アーティストです。
「アートが直接的に物事を変えるわけではないが、アートは物の見方を変え、世界の見方を変える」
2011年 TED賞スピーチより
画歴20年の画家で、現在は高校美術教師をしています。
先日JRの映画を見て記事にまとめておこうと思ったので書いています。
まさかの同世代!リアルタイムで伝説的な作品を残し続けているアーティストJR。
イケメンでおしゃれなフランス人と一見とっつきにくい印象ですが、映画でその印象もガラッと変わります。
フランスのグラフィティアーティスト【JR】
1983年フランス生まれ。90年よりストリートアーティストとして活動。
17歳のとき、パリの地下鉄で1台のカメラを拾ったことをきっかけに、街の壁や建物などに写真を貼る「ペースティング」(貼付けアート)の表現を確立する。
屋外の建物や通りに巨大な写真を貼るというグラフィティ表現を用いる。世界各地で弾圧や貧困、差別のもとで暮らす人々を撮影し、それを現地の人たちと壁に貼る活動を展開中。
現在はパリとニューヨークを拠点とする。
2011年、「世界を変えるアイデア」に賞をあたえる「TEDプライズ」を受賞。展覧会は、第54回ヴィネチア・ビエンナーレ(2007年)、「時代の肖像展」(テート・モダン、2008年)、「パリ・デリー・ボンベイ展」(ポンピドゥー・センター、2011年)などに参加。アジア初個展「JR展 世界はアートで変わっていく」をワタリウム美術館(東京、2013)で開催。現在、パリとニューヨークを拠点に活動する。
【JR】の」代表作
JRは「紙とインクと糊」しか使ってないことをよく強調します。
シンプルでどこにでもあるこの素材を使って世界を変えようとしている。
そこがめちゃめちゃかっこいいです!
「Portrait of a Generation」/ ある世代のポートレイト
2004年、ストリートをギャラリーに初めての展示を開催し、パリ郊外の公営住宅に住む若者たちを撮影した「Portrait of a Generation」を発表。
2005年11月、レ・ボスケを中心とした市民による暴動が起こりました。
皆の眼はテレビにクギ付けとなり、ストリートに広がる混乱(カオス)を目撃したのです。
その深刻な事態を収拾する能力を持ち合わせていないことをすでに露呈していた政治家たちは、フランスの都市化に関わるほんとうの悲劇の表現には目もくれずにメディアへと目を向け、この突然の暴動について話しているだけでした。
公式HP≫http://www.jr-art.net/project-list/portrait-dune-generation
「Face 2 Face」 / 向き合って
07年、イスラエルの街で「Face 2 Face」プロジェクトを実施し、同じ職業のイスラエル人とパレスチナ人のポートレイト写真を引き伸ばして街の壁に並列させ、両国和解の方法を探った。
JR「わたしが2005年にマルコに会ったときのこと。ふたりで中東へ行こうということになったのです。行ってみて、なぜパレスティナ人とイスラエル人たちはうまくやっていく方途を見つけ出せないのか、それを考えてみよう、というのが目的でした。それからイスラエルとパレスティナの都市を、あまり話すことなく巡りました。この世界に驚きのまなざしを向けていたのです。この、ユダヤ教、キリスト教、そしてイスラム教の聖なる場所に」
公式HP≫http://www.jr-art.net/projects/israel-palestine
「Women Are Heroes」 / 女性はヒーロー
「女性たちはヒーロー」は多くの写真からなるプロジェクトです。ことばはほとんど使われません。
JR は女性の尊厳に光を当てようと意図しました。
女性とは、社会の中で重要な役割を担いながらも、戦争、路上犯罪、強姦、そして宗教的、政治的過激派の犠牲となってしまう存在なのです。
このプロジェクトを立ち上げ、こういった女性たちの話を聞いていくうちに、JR は彼女たちのことばをどのように扱えばよいのかわからなくなってしまいました。
彼女たちの問題の理由を理解しようとしたわけでも、揉め事を起こした人を探し出そうとしたわけでもありません。
ただ、この女性たちを見つめて、彼女たちの深い傷が癒えるには、その痛みを声にしなければならないことを理解したのです。
公式HP≫http://www.jr-art.net/project-list/woman-are-heroes
「TED賞」受賞 2011
そこからインサイドアウトに至るまでの見事なプレゼン!
「Inside Out」 / インサイドアウト
JR「いつも気にかけているもののために、みんなに立ち上がってほしい。地球規模の(グローバル)アートプロジェクトに参加するだけでできるんだ。そしていっしょに、地球をひっくり返して(インサイドアウト)やろう」
カリフォルニア州ロング・ビーチにて 2011年3月2日
11年より参加型プロジェクト「Inside Out」を開始。
参加者はプロジェクトのウェブサイトにポートレイトをアップロードし、手元に届いた巨大ポスターを思い思いの場所に貼っていく。
ポートレイトのポスターを貼った場所や添えたメッセージはウェブサイトでアーカイヴされ、世界でシェアされる。
2011年3月から2013年2月の間に、12万枚を越えるポートレイト・ポスターが108カ国以上の国々へと送られています。
公式HP≫http://www.jr-art.net/project-list/inside-out
日本では、12年に撮影室とプリンターを兼ねたトラックが東日本大震災の被災地を巡回。
「JR展 世界はアートで変わっていく」をワタリウム美術館(東京、2013)で開催。
アニエス・ヴァルダとJRのふたり旅を描く映画『顔たち、ところどころ』
1時間29分 2018
映画監督アニエス・ヴァルダ(作中で87歳)と、写真家でアーティストのJR(作中で33歳)は、ある日一緒に映画を作ることにした。JRのスタジオ付きトラックで人々の顔を撮ることにした二人は、さっそくフランスの村々をめぐり始めた。 アニエスのだんだん見えづらくなる目、そしてサングラスを決して取ろうとしないJR、時に歌い、険悪になり、笑いながら、でこぼこな二人旅は続く。
(C)Agnès Varda-JR-Ciné-Tamaris, Social Animals 2016
歳の差なんと54歳。凸凹コンビのアートムービー。
アニエス・ヴァルダもあのゴダールを主演に映画を撮るなどフランスを代表する映画監督であり、アーティスト。
さすがアーティスト同士、歳の差はあれど不思議に噛み合っていって軽やかにストーリーは展開。
行く先々で出会った人々と素敵な作品を作り上げます。
最後はちょっと寂しい感じになっちゃいますが、JRのイメージがガラッと変わる優しい作品です。
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まとめ:アートは物の見方を変え、世界の見方を変える【JR】
「アートが直接的に物事を変えるわけではないが、アートは物の見方を変え、世界の見方を変える」
2011年 TED賞スピーチより
アートには、世界の見方を変える力があることを証明してくれますね。
また、JRの作品は1人1人の人間にフォーカスすることで、ニュースやイデオロギーなどで語られがちな大きな物語から個人の小さな物語へと優しく導いてくれます。
世の中に生きる1人1人の小さな暮らしが世界を作っている。
改めてそのことを認識させてくれますね。
当たり前の毎日を大切に生きていこうと思わせられます。
これからもアートを楽しく学べるブログを書いていきます。
ではまた!
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