西洋絵画を最高に楽しむには【旧約聖書】のストーリーを読み解くことが重要

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こんにちはtomoです!

西洋絵画を楽しむには、旧約聖書や新約聖書、ギリシャ神話などの大きな物語を知っておかないといけません。

「え、何それ?めんどくさっ!?」と思った皆さん・・・

これは、しょうがないんです(笑)

というか、映画や漫画や舞台などのコンテンツの元ネタは「聖書や神話」というものはめっちゃあります!

これを改めて知っておくということは「人生の質を高める」といっても過言ではないです。

この記事ではストーリーに重点を置き、ざっくりと名画をたどりながら旧約聖書を理解していきます。

この記事を読んでほしい人

・西洋絵画って何だかわからなくていまいち楽しめない

・ちゃんと古典も理解したいけど何を勉強すればいいかわからない

・ポイントだけ抑えてサクッと西洋絵画を楽しみたい

そもそも西洋絵画は「旧約聖書」などの大きな物語の布教のために描かれたものです。

そこに莫大な労力と才能と資金が注ぎ込まれてきました。

文字の読めない一般の人々にも聖書や神話を伝えるために、プロデュースされた国家プロジェクトだったりするわけですね。

日頃は最新の展覧会情報絵画の技法についてなども紹介していて、現代アート寄りな情報発信をしています。

で・す・が★

古典はやっぱり素晴らしく、それなくしては現代も成立しないです。

改めてぼくも古典絵画を学びなおしつつ、わかり易くポイントをブログにまとめていきます。

この記事を読むメリット

・西洋絵画を楽しむためのポイント・旧約聖書のストーリーがわかる

・西洋絵画にはモチーフや色に意味があることがわかる

・古典絵画を読み解くと現代美術や映画、アニメ、漫画などをより深く楽しめる

tomotomo
改めましてこんにちはtomoです。
画歴20年の画家で、現在は高校美術教師をしています。
東京芸術大学日本画科を卒業し、ドイツで現代美術を学んできました。
西洋古典絵画は、事前の知識がないといまいち楽しめないんですよね~。
中・高となにげにキリスト教の私立学校に通っていたので、その知識をベースに「なんとなく」で鑑賞してきました。
正直これまで正面から向き合ってはいませんでした・・・。

あらためて古典絵画と向き合ってみたところ・・・めっちゃ面白いじゃん!!!

というのが最近の感想です。

そこで、わかりやすく旧約聖書の物語を追いながら絵画を紹介していきます。

一緒に楽しみながら学んでいただけたら幸いです。

この記事はまとめ記事で、詳細は個別に深堀していきます。

ざっくりと全体をながめてもらって気になるところを個別に読んでいただければ嬉しいです!

参考にした書籍ビジュアル図解聖書と名画(中村明子)」、「ビジュアルワイド 図解 聖書と名画(中村明子)」「マンガでわかる「西洋絵画」のモチーフ(池上英洋)」、「マンガで分かる「西洋絵画」の見かた聖書編(池上英洋)」、「キリスト教と聖書でたどる世界の名画」、「西洋・日本美術史の基本」、「西洋絵画の教科書(田中久美子)」、「名画の読解力(田中久美子)」そしてネット上のいろいろな記事です。
目次
  1. 旧約聖書(全39巻)は、キリスト教・ユダヤ教・イスラム教でも聖典
  2. 「創世記」この世界の始まり【天地創造】旧約聖書・モーセ五書
  3. 旧約聖書ざっくり家系図
  4. アダムとイヴ(エヴァ)の創造
  5. 原罪と楽園追放「蛇の誘惑」善悪の木の実
  6. カインとアベル 〜人類初の殺人事件〜
  7. 大洪水とノアの箱舟 〜地上の大掃除・第一弾〜
  8. バベルの塔 ~地上の大掃除・第二弾~
  9. 燃えるソドムとゴモラ(ロトとその娘たち) ~地上の大掃除・第三弾~
  10. アブラハムの旅立ち
    1. サラとハガル、そして突然の「割礼の契約」
    2. イサク誕生の予告(三人の御使い)
    3. ハガルとイシュマエルの追放
    4. イサクの犠牲 〜信仰の父・アブラハム〜
    5. イサクとリベカの結婚 〜エリエゼルの嫁探しの旅〜
  11. アブラハムの子孫たちの波乱の人生
  12. イサクの子「ヤコブ」
    1. 双子の兄エサウを出し抜き、弟ヤコブは長子になる
    2. ヤコブの夢(ヤコブのはしご)
    3. 14年の無償労働の末、ラケルと結婚する
    4. 天使と格闘そして勝利し「イスラエル」になる
    5. エサウとの和解
  13. ヤコブの子ヨセフ ~12人兄弟の末っ子(11番目)~
    1. ヨセフ、兄弟たちに恨まれエジプトに奴隷として売られる
    2. レイプ犯の冤罪で投獄される
    3. ヨセフ、夢を読み解き副王に出世 〜七匹の太った牛と七匹の痩せた牛〜
    4. 兄たちと再会、エジプトに呼び寄せる 〜12部族の誕生〜
  14. モーセ ~海を割り、食べ物を降らせる…苦労人!?~
    1. 奴隷の身から王子へ、強運の持ち主
    2. 逃亡先でもキレたら・・・モテた!
    3. モーセの召命 〜燃え上がる柴〜
    4. モーセ、エジプトに十の災いをもたらす
    5. モーセはカナンを目指すが、エジプト王の追っ手が迫る 〜葦の海の奇跡〜
    6. マナの奇跡 〜奇跡の食料〜
    7. モーセの十戒 〜モーセ再びブチギレる〜
    8. モーセ、岩を打つ 〜モーセの死〜
    9. エリコの戦い 〜ヨシュアの快進撃〜
  15. 士師の物語
  16. サムソンとデリラ ~ユダヤ民族の英雄伝~
  17. ルツとナオミ 〜ダヴィデそしてイエスにつながる系譜〜
  18. サウル王の誕生 〜イスラエル王国・初代国王〜
  19. ダヴィデとゴリアテ 〜イスラエル王国・第2代国王ダビデ〜
  20. サウル王の死 〜サウルの自害〜
  21. ダビデとバテシバ
  22. 賢王ソロモン 〜イスラエル王国の繁栄〜
  23. 王国の分裂 〜北のイスラエル王国と南のユダ王国〜
  24. 預言者たちの時代
  25. 預言者エリヤ 〜異教の預言者と対決する〜
  26. 南のユダ王国滅亡 〜預言者エレミヤ〜 
  27. バビロン捕囚によって育った「ユダヤ人の概念」 〜エゼキエルの幻視〜
  28. 預言者ヨナ 〜イエス復活の予言(予型)〜
  29. エルサレム再建
  30. まとめ:西洋絵画を最高に楽しむには【旧約聖書】のストーリーを読み解くことが重要

旧約聖書(全39巻)は、キリスト教・ユダヤ教・イスラム教でも聖典

もともとキリスト教はユダヤ教の宗派のひとつでした。

キリスト教ではイエスの誕生以前のことが書かれている、ということからこれを「旧約」とし、イエス誕生後の内容を「新約」として区別しました。

「約」とは「イスラエル民族が神との間に結んだ契約を守るものを神は祝福する」という契約のことです。

世界三大一神教の共通の聖典が「旧約聖書」です。

つまり、神というのは、アッラーであり、主であり、ヤハウェのことです。

出典:キリスト教と聖書でたどる世界の名画

3つの宗教の大きな違いは「救世主」の考え方。

旧約聖書は、預言者が「いずれ救世主は来る」と予言して終わります。

その後、救世主はどうなったのか、が3つの宗教で大きく違います。

旧約聖書は、全39巻

大きくは4つ「立法五書(モーセ五書)」「歴史書」「預言書」「諸書・詩書」に分かれています。

現存する最古の写本は「死海文書」 エヴァンゲリオンにも登場する有名なやつです!

クムランの第四洞窟で見つかりました↓

出てきたのはこんな感じ↓

エヴァンゲリオンで登場する『死海文書』とは | みんなのメディアサイト
出典:新世紀エヴァンゲリオン

ではなく(笑) 現物はこんな感じ↓

「創世記」この世界の始まり【天地創造】旧約聖書・モーセ五書

天地創造:ボス「悦楽の園」外翼画 - 続 壺 齋 閑 話
ヒエロニムス・ボス「世界の創造」1500~05 / プラド美術館(マドリッド)

ひとりの神が6日間でこの世界のすべてを創造し、7日目に休んで安息日としました。

それでは、神のスケジュールをリスト化したので見ていきます↓

天地創造のスケジュール表

  • 1日目 光と闇を分け、昼と夜と呼んだ。
  • 2日目 大空と水を分け、大空を天と呼んだ。
  • 3日目 地と海を造り、植物を芽生えさせた。
  • 4日目 太陽と月、星を造り、昼と夜を治めさせた。
  • 5日目 魚と鳥を造り、繁殖を命じた。
  • 6日目 地の生き物を造り、土のちりから人を創造した。
  • 7日目 天地万物が完成し、自分の仕事に満足し、休息をとった。

6日目にアダムを神が自分の姿に似せてつくり、アダムのあばら骨からイヴをつくります。

男性優位の思想が見え隠れしていますね。

旧約聖書ざっくり家系図

前半はシンプルなのでわかりやすいですね!

中盤からややこしくなっていきますが、確実に繋がっています。

後半は地味な話も多くなっていきます。

人気のある画題は、名画がたくさんあります!

それではみていきましょう。

アダムとイヴ(エヴァ)の創造

天地創造の6日目の物語ですね!

イヴとエヴァ、エバなど色々呼び方が変わっている気がしますが、「Eva」の訳の仕方の問題です。

新共同訳聖書で公式には「エバ」と訳されているようです。

のちほど、訳によるややこしい名前の違いを表にしてまとめておきます。

ミケランジェロ「アダムの創造」1508~12年 / システィーナ礼拝堂(ヴァチカン)

めっちゃかっこいい絵ですよね!

いやぁ劇的。

旧約聖書によると、本当は土のちりからアダムを造って、鼻の穴から命を吹き込むらしいです。

・・・全然違うけど、こっちのほうがいいよね!ドラマチックだし!!

システィーナ礼拝堂をGoogleストリートビューで見ると感動できます!

鼻から息とかw

ってな具合に画家による「場面の創作」はかなり含まれています。

この絵だけではなく、西洋絵画全般ですね~。

ミケランジェロ「エヴァの創造」1508~12年 / システィーナ礼拝堂(ヴァチカン)

こちらはイヴ(エヴァ)の創造。

アダムのあばら骨から造られるという男性優位な設定。

アダム爆睡中。さっきの凛々しいアダムはどこ行った?!

イヴめっちゃ腰低いですね。

そうしておけと言わんばかりだなぁ・・・今なら炎上しますね(笑)

原罪と楽園追放「蛇の誘惑」善悪の木の実

アダムとイヴ」を10点以上残したルーカス・クラナッハ - 美術鑑賞を嗜む生き方 阿加井秀樹
ルーカス・クラナッハ(父)「アダムとイヴ」1526年 / コートルード美術研究所(ロンドン)

神はアダムとイヴ(エヴァ)をエデンの園に住まわせてきました。

エデンの園にはたくさんの木の実がなっていましたが、善悪の木の実(禁断の木の実)だけは食べてはいけないと神に言われていました。

ある日、イヴは蛇にそそのかされて善悪の木の実を口にし、アダムにもすすめて2人は神との約束を破ってしまいます。

これが、人間は生まれながらにして罪深いというキリスト教思想の根本「原罪」です。

マザッチョ「楽園追放」1424~27年頃 サンタ・マリア・デル・カルミネ教会(フィレンツェ)tomo's artliteracy
マザッチョ「楽園追放」1424~27年頃 サンタ・マリア・デル・カルミネ教会(フィレンツェ)

神の怒りを買った2人はエデンの園を追放されます。

善悪の木の実を食べた人間は、知識を得て恥や分別を身につける代わりに多くの苦悩を背負うことになりました。

そのため知恵の木の実とも言われることもありますね。

よく描かれるモチーフ

アダム、イヴ(エヴァ)、蛇(トカゲ)、リンゴ、剣を持った天使

カインとアベル 〜人類初の殺人事件〜

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ピーテル・パウル・ルーベンス「アベルを殺すカイン」1608-1609年

エデンの園を追われたアダムとイヴの息子が、カインとアベルです。

ある日、カインは神に自分のつくった農作物を捧げますが神はこれを拒否し、アベルが捧げた子羊だけを受け取ります。

カインは嫉妬に狂ってアベルを殺します(人類初の殺人事件発生!)。

この後、神は増えすぎて堕落した人間を一掃するため大きい三つの試練を人間に与えます。

その物語が「ノアの方舟」「バベルの塔」「ソドムとゴモラ」です!

大洪水とノアの箱舟 〜地上の大掃除・第一弾〜

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ノアの方舟ミュージアム / ケンタッキー州 

地上に人間が増えて悪徳や堕落が目立つようになると、神は大洪水を起こして世界をリセットしようと考えます。

しかし、ノアという善良な老人とその家族は助けることにして、ノアに彼らと雄雌1対の動物を乗せる方舟を造るように命じます。

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パオロ・ウッチェロ「大洪水」1445年 / サンタ・マリア・ノヴェッラ教会キオストロ・ヴェルデ(フィレンツェ)

画面左に洪水で逃げまどう人々、画面右に洪水の終わりと分かるシーンと、2画面構成になってます。

右奥、方舟から出てきてるのがノア

右手前大きく描かれてるのがローマ教皇で、2つの方舟が東西に分裂したローマ教会とギリシャ教会を表してるとも言われています。

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ジョン・エヴァレット・ミレイ「箱舟への鳩の帰還」1851年 / アシュモレアン博物館

地上は40日間の豪雨に見舞われ、150日ものあいだ水に覆われてしまいます。ノアが乗った箱舟は山の頂にとどまります。

ノアはそこから烏を飛ばしますが、船の回りを飛ぶだけ、その後鳩を飛ばし、3度目に放つと戻ってきませんでした。そこで上陸をします。

ノアの箱舟はのちにキリスト教絵画において教会を暗示するモチーフになります。

この絵めちゃくちゃ好き、まるで本当にあったことのように感じさせてくれます。

ノアの息子セムの妻などが描かれています。オリーブの葉をくわえて戻ってきた場面ですね。

希望を表す緑色が多く使われていて、これからの明るい展開を期待させてくれています。

よく描かれるモチーフ

ノア、箱舟、動物たち、鳩、オリーブ、虹

バベルの塔 ~地上の大掃除・第二弾~

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ピーテル・ブリューゲル(父)「バベルの塔」1563年 / 美術史美術館(ウィーン)

世界の言語が複数あることを説明するためのストーリーです。

天に近づく塔を建てようとした人間の不遜な行いに腹を立てた神は塔を崩壊させ、人々の言葉をバラバラにしてしまいます。

ジッグラト|古代メソポタミアの宗教的な聖塔でウルの物は現存する | tomo's artliteracy
ウルにあるジッグラト「エテメンニグル」

中世のころのバベルの塔はジッグラトのように四角い形で描かれていました。

ブリューゲルはイタリアへの留学経験をもとにコロッセオをモチーフに円形のバベルの塔を描きました。

その後スタンダードなのは円形の形になっています。

よく描かれるモチーフ

バベルの塔、工事をする人々、工事用機器、ニムロデ王

燃えるソドムとゴモラ(ロトとその娘たち) ~地上の大掃除・第三弾~

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ジョン・マーティン「ソドムとゴモラの破壊」1852年

ユダヤ民族の祖アブラハムの甥にあたるロト一家の物語です。

神は風紀の乱れた街ソドムとゴモラを天からの火で滅ぼそうとします。

主に性方面でだいぶ乱れていたようです。オーラルセックス、獣姦、ソドミーとも。とにかく乱れ切っていたようです。

この街が滅びることを、ロト一家にだけ伝え逃がすことにします。

神から「後ろを決して振り返ってはならない」と忠告されていた一家でしたが、途中で妻が振り返り塩の柱になってしまいます。

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ルーカス・ファン・ライデン「ロトとその娘たち」1520年 / ルーブル美術館(パリ)

燃える街から逃げのびた娘2人は、子孫を残すためにロトを酔わせ近親相姦で子供を産みます。

ユダヤ教は近親相姦を認めていませんが、ユダヤ民族と対立する周辺民族は近親相姦の神話を持つ多神教を信仰していました。

近親相姦による娘たちの子供はユダヤの対立民族の祖とされ、物語は他民族を批判するためのエピソードとして書かれています。

※時間軸的にはアブラハムの旅立ち後、カナンに向かう途中で別行動を取ったロトの物語です。

よく描かれるモチーフ

ロト(老人)、2人の娘、燃える街(ソドムとゴモラ)、妻(塩の柱)、酒、酒器、洞窟

ここでちょびっと復習です。

ここまでで、家系図でいうとこの辺まできてます(ロトはこの後ですが)。

連続したストーリーだということを紐づけておかないと忘れてしまうので、流れは大切にしましょう。

アブラハムの旅立ち

ここからはアブラハムの約束の地へ旅立つ物語が始まります。

長い旅になります。

ざっくりモーセまでひとくくりだと思った方が、すっきりしますね!

アブラハム、約束の地カナンへ出発!の名画tomo's artliteracy
「カナンへの出発(アブラハムの出発)」ヤーコポ・バッサーノ/ ウィーン美術史美術館

アブラハムはユダヤ民族の祖です(日本人で言ったら、天皇の祖イザナギのような存在)。

これは神から「カナンの地を与える」と啓示を受けたためです。

このことは、現在のイスラエルがエルサレム周辺の土地は自分たちのものだと正当性を主張する根拠となっています。

このアブラハム・・・聖人とされているんですが、なかなかのクセものです(笑)

旅の果てにカナンの地にたどり着いたアブラハムは神と契約を結びます。

が!

ジェームズ・ティソ

ある年、飢餓が訪れるとあっさりと約束の地を捨ててエジプトに行きます(え〜!)。

その間いろいろと戦略を練りサラとゴニョゴニョ・・・↑

ジェームズ・ティソ『 王宮に召し入れられるサライ 』

エジプト王ファラオに自分の妻サラを妹と偽って、嫁がせます(え〜!2回目)

「バレないかな〜」って感じかな↑

既婚者なのがバレたらまずい、そらそーですよね。

そこは現代でも一緒ですね!

ジョヴァンニ・ムッツィオーリ(Giovanni Muzzioli)『ファラオ宮殿のアブラハムとサラ』

アブラハムは身内が王族になったことで、ラクダやロバの家畜や男女の奴隷たちをもらって大金持ちになります。

この悪い顔!

そして後ろで聞いてる〜!

あっさりバレて追い出されアブラハム一行はカナンに戻ってきます。

アイザック・イサークス『サラをアブラハムに追い返すファラオ(Pharaoh gives Sarah back to Abraham)』

不徳(既婚者を抱いた)をしたせいで、王宮に疫病が流行りました(サラの性病?)。

ファラオは怒ってサラとアブラハム一行を追い出します。

なぜか特に罰はなく、持ち物も持ったままただ追い出されます。

よく殺されなったな〜。

ジェームズ・ティソ「アブラハムのキャラバン隊」

アブラハムはリッチなままカナンに戻っていきます。

やったぜアブラハム!

サラとハガル、そして突然の「割礼の契約」

アラブ人の祖イシュマエルと「旧約聖書」 | tomo's artliteracy
マッティアス・ストーメル「ハガルをアブラムにあてがうサライ」ベルリン国立絵画館

約束の地カナンでは、エジプトで荒稼ぎしてきたので不自由のない生活ができていました。

しかし、アブラハムとサラには悩みがありました。

神が「アブラハムの子孫は砂粒のように増える」と約束したのに子供が全然できませんでした。

サラは妊活を当時75歳(頑張った!)まで粘ったけど子供が生まれず、女奴隷のハガルをアブラハムに差し出す。

ジェームズ・ティソ「サラとハガル」

そして、ハガルはイシュマエルを身籠ります。

ここで逆転現象、ハガルがサラを見下し始めます

とはいえ、ハガルは奴隷の身分

サラが本気でハガルを嫌がりだすとハガルの居場所はなくなり、ハガルは逃げ出します

ある日、ハガルは「荒野の井戸(泉)」にいるときに天使が現れました。

「あなたの女主人の元に帰りなさい。そして、さらに謝って謙虚に仕えなさい。さすれば、あなたの子孫は大いに増える」そう諭されハガルはカナンに戻ります。

そしてイシュマエルが生まれます。

ここからちょっと路線が変わりますが・・・

それから13年後、アブラハムが99歳、イシュマエルが13歳の時に突然神からの啓示で・・・

「割礼せよ」

と言われます。

あなたはこれからわたしが告げる契約を、子々孫々に至るまで守らなければいけません。
あなたとあなたの所にいるすべての男子は割礼を受けなさい。
それが契約の印となります。

もし割礼を施さない者がいたなら、その者は契約を破った者となり、
民から切り離されます。

アブラハムの割礼 / ジャン・ド・サイ(Jean de Sy)による聖書(1350年頃)

ということでアブラハムは99歳にして、包茎手術を受けます。

しかも当時は麻酔なし!ひえ〜〜!!!

イシュマエルは痛みで気絶してる(笑)

旧約聖書によると3日ほどのたうち回るほど痛いらしい。

女性の割礼は記述にはないため、旧約聖書やコーランとは関係ない模様。

イサク誕生の予告(三人の御使い)

tomo's artliteracy
ムリーリョ『アブラハムと三人の天使』

ここで3人の旅人に扮する天使に言われているのは、「あなたとサラの間には来年男の子が生まれるよ」

ということです。

アブラハム100歳、サラ90歳

天使の前ですが、笑ってしまいます。

天使は子供に「イサク(彼は笑う)」と名づけるように言って去っていきます。

ちなみにこの天使たち、神からの別ミッションもあったようでこの後ソドムとゴモラに向かいます。

このときに「ソドムとゴモラ」を滅ぼすことを聞き、アブラハムはロト一家を救ってくれるように頼んでいます。

ハガルとイシュマエルの追放

グエルチーノ「ハガルとイシュマエルを追放するアブラハム」ブレラ美術館

無事にイサクは生まれてきます。

そうなると、ますます居場所のないハガルとイシュマエル・・・可哀想。

サラの後ろ姿の冷たいこと。

エマニュエル・クレセンス・リシュカ「砂漠にいるハガルとイシュマエル」

改めて思うと、ハガルなんも悪くない。

運命に翻弄されたハガル、でも大丈夫。ピンチには天使も助けてくれる。

イスラム教では、イシュマエルは、メッカに住んでアラブ民族の始祖になりました。

イスラム教最大の預言者ムハンマドは、イシュマエルの血筋を引いているとされています(重要!)。

イサクの犠牲 〜信仰の父・アブラハム〜

カラヴァッジョ『イサクの犠牲』

この試練によってアブラハムは「信仰の父」と呼ばれるに至ります。

この解釈は諸説あるので、この場では表面のストーリーをなぞるだけにしておきます。

超高齢出産でやっとのこと生まれた息子イサクを「生贄として私に捧げよ」と言われます。

アブラハムは神に信仰を試されるのです。

そしてアブラハムは愚直にその言いつけを守り、イサクを手にかけようとする

天使に止められて「殺す必要はない、あなたの信仰は本物だと分かった」と言われるわけですね。

神・・・なかなかエグいです。

イサクとリベカの結婚 〜エリエゼルの嫁探しの旅〜

ムリーリョ 《 リベカとエリエゼル 》 1650 |107 x 171 cm|マドリード、プラド美術館

アブラハムの下僕エリエゼルの「イサクの嫁探しの旅」がスタートします。

なーんのヒントもないまま、とりあえず「ウル(アブラハムの故郷)に行って嫁を探してこい」とだけ言われます。

途方に暮れながら「イサクの嫁探し」を続けます。

全く何を基準に選んだらいいのかわからないままなので、一向に見つかりません。

もう限界!

ってところで神に祈ると、親切に水を飲ませてくれる女性リベカと出会います。

エリエゼルのラクダにも井戸を何度も往復して水を汲み、全てのラクダに水を飲ませてくれた。

もう「絶対この娘!」推し確定★

黄金(金のブレスレット)を贈り、リベカの両親に話をつけて一緒にカナンへと帰ります。

そして無事にイサクと結婚してくれることになります。

お疲れ、エリエゼル!

アブラハムの子孫たちの波乱の人生

旧約聖書のメインストーリー上の進行は・・・

アブラハム → イサク → ヤコブ →ヨセフ → モーセ → ヨシュア

となります。

それぞれに濃密なエピソードがあって多くの名画が残されています。

ストーリーと代表の名画をざっくりと紹介していきます。

イサクの子「ヤコブ」

イサクとリベカは結婚し、双子の子供・兄エサウと弟のヤコブを産みます。

兄はけむくじゃらで脳筋の体育会系、弟は内気で小狡い文化系。

リベカはヤコブを寵愛していて、常にヤコブの味方をしている。

ヤコブにエサウを出し抜いて祝福を受けさせたりもします。

双子の兄エサウを出し抜き、弟ヤコブは長子になる

ある日、エサウが得意の狩りから帰るとヤコブが美味しそうな煮物を作っていました。

腹の空いたエサウは、ヤコブにねだります。

そこでヤコブは「長子権を譲ってくれるなら、この煮物あげます」

と交渉します。

そしてエサウは煮物欲しさに長子権を譲ってしまいますw

ホーファールト・フリンク『ヤコブを祝福するイサク』

また時が経って、イサクは歳を取り目が見えなくなりました。

そこでエサウを祝福し、家督を譲ろうとします。

祝福は、神との約束です。

子孫の繁栄、土地の継承などを行います。一度しかできません(重要)!

リベカはそれを見て、目の見えないイサクにヤコブを祝福させようとします。

ヤコブは、獣の手袋などをつけてエサウに扮し(そんなんでいけたのか笑)祝福を受けます。

狩から意気揚々と戻り、いざ祝福を受けようとしたエサウ。

しかし、すでにヤコブが祝福されたことを知り激怒します。

「ヤコブめ殺す!!!」とブチギレ。

それを見たリベカはヤコブを自分の故郷に逃がします。

ヤコブの夢(ヤコブのはしご)

ヤコブの夢・天使の梯子: 消えがてのうた part 2
ウィリアム・ブレイク「天使のはしご」

エサウに殺されそうになり逃げるヤコブ。

母の故郷へと逃げます。

その途中、荒野で野宿しているときに天まで届く階段の夢を見ました。

「ヤコブよ。私は今お前がいる土地をお前と子孫に与える。子孫は砂粒のように増え、各地に広がるのだ。」

ヤコブはこの場所を天の門、神の家(ベテル)として、枕にしていた石を記念碑として立てる。

14年の無償労働の末、ラケルと結婚する

「ヤコブとラケル」
ウィリアム・ダイス 「ヤコブとラケルの出会い」1853年

無事に母リベカの故郷に着いたヤコブはラバン叔父の娘ラケルに一目惚れします。

ラバンから働く報酬として何が欲しいか聞かれ「ラケルと結婚させてほしい、その代わり7年間タダ働きします」と言います。

本当に7年間働き、念願のラケルとの結婚。

婚礼の儀をし、朝日が差し込む中ベッドでラケルの顔を覗き込むと・・・

それはラケルではなく姉のレアでした。しかもレアは醜女・・・。

ラバン叔父に訴えるも、妹が姉より先に嫁ぐのは御法度だから、妹のラケルも欲しければあと7年働くように言われます!

トータル14年間のタダ働き。

ひどすぎる(泣)

タダ働き、相手のためを思った献身が全く実を結ばないことってありますよね。

実家への仕送りとか、当たり前のようになってしまうと相手もそれありきで生活設計をするから感謝されない。

そんな教訓のお話かな。

ま、その間、姉レアや召使いの間に10人もの子供を作ります(やることはやってるw)。

ようやく結婚できたラケルとはなかなか子供はできず悩みます。

そしてやっと次の物語の主人公ヨセフが誕生。11人目の息子でした。

天使と格闘そして勝利し「イスラエル」になる

ヤコブはラバン叔父や親戚との人間関係に悩み、故郷のカナンに一族で戻ることに決めます。

しかし、カナンにはブチギレさせた兄エサウがいます。

カナンに向かう途中、贈り物を送ったり、使者を送ってビビりながら進みました。

道中、使者が戻ってきて言います。

使者「エサウ様は400人のお供を連れてこちらに向かっておられます」

ヤコブ「間違いなく殺られんじゃん!」

その夜、ヤコブに何者かが組みついてきて、ヤコブは無理矢理闘わされます!

その相手は実は天使

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ウジェーヌ・ドラクロワ「天使とヤコブの闘い」

なぜか始まる急なバトル展開(ジャンプ的なテコ入れかw)。

そしてヤコブは勝利します。

そして天使から、これからはヤコブではなく「イスラエル」と名乗るように言われます。

イスラエル民族の名前はこのエピソードからきています。重要な話ですね!

エサウとの和解

400人のお供を連れたエサウと対面します!

またもやバトル展開か?!

ひたすら謝るヤコブ「兄さん、あの時は申し訳なかった!」

エサウ「なんのことだ?会えてよかった!よく帰ってきたな〜」

泣きながら抱きしめてくれるエサウ。

ピーテル・パウル・ルーベンス「ヤコブとエサウの和解」1600~1699年

エサウ、めっちゃイケメンに成長していました。

このシーン旧約聖書中で一番感動的だと言われています。

そしてエサウはお互いの健闘を祈って、颯爽と去っていきます!

脳筋とか言ってごめんなさい!←これはぼくです。

ヤコブの子ヨセフ ~12人兄弟の末っ子(11番目)~

ヨセフは、夢を解いて未来予知をする能力を持っています。

頭もよく、容姿端麗、ヤコブにもめっちゃ可愛がられます(最愛の妻ラケルの子だし)。

そんなヨセフなので、12人いる兄弟の中で、あからさまにえこひいきされていました。

そしてヨセフは他の兄弟たちに嫉妬され、憎まれるようになります。

ジェームズ・ティソ

ですが、ヨセフは憎まれていることに気づかず・・・

自分の夢を解いて「兄さんたちはみんなボクに従うことになるよ!」

ということを得意げに言ってしまいます。

そして・・・

ヨセフ、兄弟たちに恨まれエジプトに奴隷として売られる

アレクサンダー・マクシミリアン・ザイツ「奴隷として売られるヨセフ」

殺意を抱いた兄たちはヨセフを殺そうとします。

長男のルベンが流石に殺すことはないと、井戸に放り込むまでに抑えさせました。

しかし、その後通りかかったエジプトの隊商に兄たちはヨセフを売り払ってしまいます。

ヨセフはエジプトに奴隷として連れて行かれます。

父ヤコブには、家畜の血のついた布を見せヨセフは死んだと伝えられました。

ヤコブも鈍いな・・・ま、14年も騙されてタダ働きする男ですからね。

レイプ犯の冤罪で投獄される

カルロ・チニャーニ「ヨセフとポティファルの妻」1678-80年

エジプトの奴隷になってしまったヨセフですが、その有能さを発揮し異例の出世をします。

ところが、有能すぎる上に容姿端麗なヨセフに、主人ボティファルの妻が目をつけ言い寄ってきます。

ヨセフはそれを断って逃げるのですが、ボティファルの妻は怒り「ヨセフが自分を襲おうとした」と嘘をつきます

そしてヨセフは牢獄に入れられてしまいます。

ヨセフ、夢を読み解き副王に出世 〜七匹の太った牛と七匹の痩せた牛〜

しかし、牢獄の中でもヨセフは優秀でした。

あっという間に牢獄長に気に入られ、牢獄の管理を任されるようになります。

牢獄の中でも「夢解き」を行い、それに救われた役人などがいて、王の耳に届く噂になります。

tomo's artliteracy
レジナルド・アーサー「ヨセフ、ファラオの夢占う」1896年

「七匹の太った牛と七匹の痩せた牛」の夢を解きます。

夢の中で、わたしがナイル川の岸に立っていると、 突然、よく肥えた七頭の雌牛が川から上がって来て草を食べ始めた
その後から、今度は貧弱で、とても醜い痩せた七頭の雌牛が上がって来て、初めのよく肥えた七頭の雌牛をみな食べてしまった

「王さま、それは神からのお告げです。
これから7年の間、エジプトにはたくさんの小麦やとうもろこしなどの収穫があります。しかし、その後の7年間は飢饉が続いて何も穫れなくなります。」

「だから、賢い人を大臣にして、最初の7年の間、倉庫を建てて、小麦やとうもろこしを大切にしまっておくのです。そうすれば、飢饉になって何も穫れなくても困ることはないでしょう。」

ヨセフの夢解きに関心したファラオは、ヨセフをいきなり副王、つまり総理大臣に任命します。

奴隷から総理大臣への大出世!!

ちなみにこのヨセフ、人類最初の経済学者とも言われています。

兄たちと再会、エジプトに呼び寄せる 〜12部族の誕生〜

ペーター・フォン・コルネリウス「彼の兄弟によるヨセフの認知」1816-1817年

ファラオの夢の通り、大豊作は7年間続き、その後で世界的な大飢饉がきました。

カナンの兄弟たちも大飢饉で苦しみ、エジプトに食料の買い出しに来ます。

そして、総理大臣のヨセフに食料を売ってほしいと頼みます。

兄たちは総理大臣がヨセフであることに全く気が付きません。

これは、復讐の大チャ〜ンス!

兄たちを一晩、容疑者として勾留します。

その夜、様子を伺いにいくとヨセフにひどいことをした罰だと罪を悔いる兄たちの姿がありました。

そこで、兄たちを許し、エジプトに呼び寄せることにします。

ただ、この兄たちの顔!

抱き合ってるのは、同じくラケルの子12番目の兄弟ベニヤミンです。

それ以外の兄たち全然信じてない、めっちゃ疑ってるw

いつ復讐されるのかとか考えているんでしょうね〜。

銀貨20枚で売っちまったからな〜、復讐怖ぇ〜。

とはいえ、その心配は杞憂に終わります。

ヤコブも一族も何不自由なく生活を送ります。

しかし、移民のイスラエル民族への風当たりは時が経つにつれ強くなり、ヨセフが死んだ数百年後にはイスラエル民族は奴隷に成り下がってしまいます。

長かったアブラハムの物語もこれにて終了で、ヨセフからモーセに主役は変わります。

12人兄弟の1人、レビの末裔がモーセですね。

余談ですが、こうしてみると、あの醜女と言われたラケルの姉レアも大事な存在だとわかりますね。

ここからモーセの物語は始まります↓

モーセ ~海を割り、食べ物を降らせる…苦労人!?~

トーマス・ブリグストック  1840-60年

旧約聖書のスーパースター・モーセの登場です。

頭からは角(光の柱)を立てた、聖人のモーセですが、調べていくうちに意外と苦労人だったことがわかり、なんだか同情してしまいました(笑)

家系図も後半です!モーセは中後半ってところですね。

いわゆる「スーパースター・モーセ」の偉業をまとめました↓

エジプトに十の災いをもたらす

海を割り、イスラエル民族のピンチを救う

砂漠に奇跡の食べ物マナを降らせ、うずらを召喚

岩から水を湧き出させる  などなど

まさに聖人!

モーセの意外なところをまとめました↓

モーセは殺人犯!

・モーセは口下手で声が小さい!

・モーセは神とはじめて話したのは80歳!

結構意外ですよね?

一番意外だったのは、数々の奇跡も起こしたくて起こしているというよりは止むに止まれずってところです。

神とわがままなイスラエル民族(元奴隷)たちに板挟みにされ消耗するモーセの物語です↓

奴隷の身から王子へ、強運の持ち主

ローレンス・アルマ=タデマ 「モーゼの発見」1867年

奴隷の身分として生まれたモーセでしたが、増えすぎたイスラエル民族はうとまれるようになっており、殺される運命にありました。

そこで両親はナイル川の葦のほとりに置き去りにしました。

それをエジプトの王女が拾って育てることになります。

しかも実母が乳母に抜擢され、モーセは王子として恵まれた幼少期を送ります!

乳母が実母だったことからか、自分がイスラエル民族だということを悟り、悩みます。

同じイスラエル民族が奴隷として働かされているのに、自分は王子として何不自由なく暮らしている。

ある日、イスラエル民族がエジプト人監督官に虫けらのように鞭打たれて苦しんでいる場面に遭遇します。

それを見たモーセは、いきなり襲いかかってエジプト人監督官を殺して砂に埋めてしまう

それがバレてモーセは罰せられる前に、育ての親の王女がモーセを逃しました。

逃亡先でもキレたら・・・モテた!

モーセは砂漠に逃亡。

シナイ半島の先、ミディアンというところまで逃げます(かなりの距離)。

ある日、井戸喉を潤していると、祭司エテロの娘たちが井戸端にやってきます。

そこを通りかかった荒くれ者たちが娘たちを追い払って、井戸を使おうとしたのを見て・・・

モーセまたもブチギレます↓

ロッソ作「エテロの娘を守るモーゼ」 | フィレンツェからボンジョルノ!
ロッソ・フィロレンティーノ

なんと、これがきっかけで助けた祭司エテロの娘と結婚します。

その後、落ち着いた生活を長年に渡って続け、すっかりモーセも老け込み80歳になった頃

「わしの人生もなかなか悪く無いものだった」とか独り言をつぶやいていたら・・・

いきなり神の声を聞くことになります!

モーセの召命 〜燃え上がる柴〜

サンドロ・ボッティチェリ《モーセの試練》1481~1482 / システィーナ礼拝堂(ヴァティカン)

この絵には、異時同図法(異なる時間の話を一枚の絵に表す画法)が使われています。

見事な構成力!さすがボッティチェリですね。

①エジプト人監督官を殺すモーセ

②逃げるモーセ

③ミディアンの井戸で荒くれ者を追い払うモーセ

④女の子たちに水を汲む優しいモーセ

⑤聖なる山ホレブ山に登って靴を脱ぐモーセ

神から「イスラエルの民を導くのだ」と言われるモーセ(モーセの召命)

⑦エジプトからイスラエルの民を連れ出すモーセ

神から「エジプトに奴隷として働かされている、イスラエルの民を導き共にカナンの地を目指せ」と言われます!

80歳にしてとんでもない指令を与えられるモーセ。

口下手で声の小さなモーセ「無理やー」と訴えるも、兄アーロンは弁が立つし2人で力を合わせれば大丈夫と言いくるめられます。

そしてエジプトへ向かいます↓

モーセ、エジプトに十の災いをもたらす

エジプトに住むイスラエル民族は約300万人

この300万人を80歳のおじいちゃんが突如連れて行くという凄まじい展開。

ジェームズ・ティソ

しかも、エジプトの王ファラオもそんなの許せるわけがないです。

急に300万人もの奴隷がいなくなったら国が崩壊します。

「イスラエルの民を解放しないとエジプトに大きな災いが訪れますぞ」と小声でゴニョゴニョ言うモーセと伝える兄アーロン

そう言われても突っぱねるファラオ、そりゃそうだ・・・。

そして「十の厄災」がエジプトを襲います。

海が赤くなったり、蛙が湧いたり、アブやイナゴが襲ってきたり、臭かったり、暗くなったり、エジプト人の長男が皆殺しされたり・・・。

「エクソダス:神と王」監督リドリー・スコット 2014年製作

かなりリアルな映像が見れます!

ジェームズ・ティソ

なんなんだよ、もうさっさと出ていってくれ!って感じのファラオ。

だいぶ無茶苦茶ですが、無事に300万人を扇動しエジプトを出発することができたモーセ!

モーセはカナンを目指すが、エジプト王の追っ手が迫る 〜葦の海の奇跡〜

画像20
マルク・シャガール

ここで有名な「葦の海の奇跡」です!

無事にエジプトをモーセとイスラエル民族300万人は脱出しました。

しかし、エジプトから向けられた追っ手がきて、300万のイスラエル民族はパニック!

海の手前まで追い詰められます。

モーセが海に向かって手をかざすと、海の水が左右の壁となって分かれ、乾いた道が目の前に現れます。

セシル・B・デミル監督の映画『十戒』(1956年製作)かなりリアルに情景が描かれてます(当時にしては)。

モーセたちが海を渡り切ると、海は元に戻りエジプト軍を飲み込みました。

この奇跡を見て、イスラエル民族は神とモーセを信じるようになります。

マナの奇跡 〜奇跡の食料〜

300万人もの民族が荒野を移動しているので、すぐに飢えます。

海を割った時は感謝した民も、飢えてくると、すぐにモーセを非難し始めます。

カナンまでの道のりは長く、40年もかかります・・・(長い)。

そこでモーセは、神に祈って食糧をなんとかしようとします。

すると、夕暮れには大量のうずらが飛んできて、朝にはパンのような食べ物が降ってくるようになります!

この神が天から降らせたパンみたいなものが「マナ」です。

※パンのようなウエハースのようなものらしいです。しかも保存できずに、すぐ腐る。

アントニオ・テンペスタ「マナの収集」1600年

しかし、これが40年間の食事だと思うと・・・つらい( ; ; )

ま、普通に餓死とかあった時代なのでそれがないだけでもすっごい奇跡なんだろうな〜。

モーセの十戒 〜モーセ再びブチギレる〜

ギュスターブ・ドレ「シナイ山を降りてきたモーセ」

モーセはシナイ山で神から十の戒律が描かれた石板を預かります。

その石板は、アーク(箱)に納められ、イスラエル民族と一緒に旅をして、のちにエルサレムに運ばれます。

その後の行方は謎。旧約聖書でもほとんど触れられなくなっていきます。

余談ですが、インディ・ジョーンズ(レイダース/失われたアーク〈聖櫃〉1981年)はこのアークにまつわる話みたいですね!今度改めて見てみよう。

さて、無事に十戒を授かってきたモーセですが、シナイ山から帰ってくると・・・

なんと異教の教えが流行していました。

しかも「金の牛」の偶像なんか作って崇めちゃっていました。

レンブラント・ハンメルスゾーン・ファン・レイン「十戒の石板を叩き割るモーセ」1659年 / ベルリン美術館

モーセブチギレ!

モーセは石板を叩き割り、金の牛の像も破壊します!

セシル・B・デミル監督の映画『十戒』(1956年製作)

やっぱりモーセといえばこの映画w 

本当は口下手なはずなのでこんなにはっきりと喋らないはずですが。

またも神も怒り、民を全て滅ぼそうとします。

流石にそれはやめてくれ〜、と神をなだめるモーセ。

ノアやソドムのようなことがまた起こるとこだった。

金の牛を崇めた民は兄アーロン以外皆殺し。

他の民に偶像崇拝をしないよう伝えて、再契約しにまたシナイ山にモーセは登っていきました。

そして2枚の石板を持ち帰り、契約の箱に安置することでアークが完成します。

ここからも「青銅の蛇」など反逆、背信と戦いながらモーセ一行はカナンを目指します。

モーセ、岩を打つ 〜モーセの死〜

カナンへの道中、またイスラエルの民は不平不満を言います。

「喉が渇いた、水欲しい〜!」

モーセは仕方なく、岩を杖で打って水を出そうとします。

「コツン!」

「あれ?出ない、コツン!」

2度目の”コツン”で水が出ました。ほっとしたモーセ。

ギュスターブ・ドレ

しかし天から声がします。

「モーセよ、2度も杖を使ったな?つまり、お前は私の力を1度疑ったということだ。もうお前はカナンの地に入ることはできない」

え〜〜〜〜!!

神・・・厳しい!!!

ここまで頑張ってきたモーセ、なんとカナンを目前に死んでしまいます。

享年120歳。

モーセの死後は、ヨシュアが後継者になります↓

エリコの戦い 〜ヨシュアの快進撃〜

モーセが死ぬ前に武闘派のヨシュアは祝福を受け、後継者になります。

ジェームズ・ティソ

奇跡の力も継承されて、「ヨルダン川の奇跡」を起こしている。

ヨシュアは「約束の地カナン」に住んでいる先住民族を次々に攻撃していきます。

難攻不落の城壁「エリコ(jericho)」にも挑みます。

まず2人のスパイを送り込み、娼婦のラハブの家にもぐりこみます。

フレデリック・リチャード・ピッカースギル

ラハブは、スパイを助け、改宗することを誓います。

この後、エリコは陥落、ラハブとその家族以外は、女も子供も家畜すらも皆殺しにされます(ヒィ!)。

とはいえ、このスパイ活動のおかげで勝ったわけではないんです。

ジェームズ・ティソ

またも、神の奇跡です。

「6日間、毎日1回、契約の箱を担いで行進しなさい。そして、7人の祭司が契約の箱の前で角笛を吹きなさい。そして、その間はひと言も発してはならない。声を出していい時は知らせる。その時は全員で鬨の声(ときのこえ)をあげるのだ!」

この不思議な儀式でエリコの難攻不落の壁はガラガラと崩れ落ち、兵士たちは町に突入します!

エリコを陥落させたヨシュアは次々とカナンを取り戻していきます。

エリコに続き、アイという町を陥落させ、リブナ、ラキシュ、ゲゼル、エグロン、ヘブロンなど次々と滅ぼしていき、ヨルダン川西岸の都市ギルガルから地中海沿岸の都市ガザまで、つまり「約束の地カナン」をすべてイスラエルの土地にしました。

モーセの率いたイスラエル民族の大引越しもようやく終了!

ヨシュアはアブラハムから続くイスラエル12部族にそれぞれ土地を分けます。

ソース

そしてヨシュアは110歳で亡くなります。

ここでちょっと復讐と予習です。

ここまでで、アブラハムから続いた約束の地カナンへの旅は終了です!長かった!!

ここからは士師の物語をちょっと挟んで、イスラエル王国の建国へと話は進んでいきます。

それでは続けていきます↓

士師の物語

カナンの周りには敵も多く、勇敢な指導者(士師)が必要とされました。

ヨシュアの死後300年が経った頃、部族ごとの自治に不安が募り、12部族全体の王を求める声が強くなります。

そして、イスラエル王国が建国されます。

しかし、問題もありました。

カナンではイスラエル民族がエジプトで奴隷をしていた間にバアル信仰が増えていました。

モーセがブチギレた「金の牛」もバアル信仰です。

バアル信仰のカナン人を妻にしたりするイスラエル民族も多く、さらにバアル信仰が進んでいきます。

ああ、また神が怒り出すぞ〜。ってな話が始まりますw

イスラエル民族の宿敵ペリシテ人も同じ「バァール神」を信仰してる。

※「ペリシテ」は「パレスチナ」の語源だそうです。

それではイスラエル王国建国の少し前、「士師の物語」を書いていきます↓

サムソンとデリラ ~ユダヤ民族の英雄伝~

士師として有名なのはサムソンぐらいです。

12部族の中の英雄的存在が士師として出てくるようなのですが、名画の題材として取り上げられているものはほとんどないです。

サムソンの母は、サムソンが生まれる前に神からの声を聞きます。

「生まれた子供の髪の毛は決して切ってはならない。その子はペリシテ人の手からイスラエルを解き放つ救いの人となる」

イエス・キリストの受胎告知の予言(予型)にもなっているので、サムソンを重要視する見方も強いです。

ルカ・ジョルダーノ

そして生まれたサムソンは、髪の毛の神通力で怪力無双に育ちます。

ライオンを素手で引き裂いたり、ペリシテ人1000人をロバの骨1本で殴り殺したりします!

そんな最強なサムソンですが、致命的弱点として女性に弱かった。

敵のペリシテ人の女性デリラに惚れてしまいます。

このデリラにサムソンは力の源である髪の毛の秘密をしゃべってしまいます。

そして髪を切られたサムソンは、ペリシテ人の兵士たちに捕まります。

画像1
ヴァン・ダイク

両目を抉り取られたり、粉挽きをさせられたり、拷問され見せしめにされます・・・。

うまくやられたというより、何度も騙されて聞き出されているのでなんとも残念なやつでもあります。

この「サムソンとデリラ」は名画が多いので比較すると楽しいですね!

デリラの表情によって、画家たちの解釈の違いが読み取れます。

いつか別記事で深掘りしたいです!

よく描かれるモチーフ

サムソン、デリラ、はさみ、切られた髪、兵士

ルツとナオミ 〜ダヴィデそしてイエスにつながる系譜〜

プッサン「夏(ルツとボアズ)」1660~64年

旧約聖書の中で最も平和なエピソード。←ほとんどそんなのないw

義母を支え続けたルツの子孫が「イスラエルの王」となります。

さらにイエスへとつながる系譜なので、絵の左隅にはパンが描かれています。

未亡人になったナオミと長男と次男。

それぞれの息子は結婚したが、急死してしまいます。

その長男の嫁がルツです。次男と結婚したオルバはナオミのすすめに従い実家へ帰ります。

しかし、ルツは実家に帰ろうとしませんでした。

フランチェスコ・アイエツ「ルツ」19世紀

ナオミの元に残ったルツは、貧しい生活に耐えながらナオミを支えます。

この姿に心打たれた地主のボアズがルツと結婚します。

その子孫として、ひ孫にダビデが、そしてイエスへと繋がっていきます。

「落穂拾い」は貧者の権利とされています。

「落穂拾い」と「ルツとナオミ」はセットで認識されているものなんですね。

ミレーの「落穂拾い」などもまさにそうで、宗教画と言われる所以はそこにあります。

ジャン・フランソワ・ミレー「落穂拾い」1857年

神様はどこかで私たちを見ている。

いつかルツのように良いこともある、といった道徳のお話ともとれますね。

知らなかった〜(汗)

こういう話を知っているか知らないかで、感じられる絵の奥深さもずいぶん変わってきますよね!

サウル王の誕生 〜イスラエル王国・初代国王〜

レンブラント「サウルに琴を弾くダビデ」1630~31年頃

ついに士師の時代は終わり、王の時代になります。

イスラエル王国ができます!

旧約聖書はイスラエル民族の歴史書です、あと少しでクライマックスですね!

最後の士師、預言者サムエルは王制に移行することに不安がありましたが、民が望んだため神に祈りました。

そして、選ばれたのがべニヤミン族の美少年サウル

最初は従わないものもいましたが、武功をあげて王として認められるようになりました。

この時、預言者サムエルは王政に移行すると、人々が軍隊に徴用されることや、税の負担が増えること、王の奴隷になることを警告しました。

でも全然聞いてもらえず、あとからイスラエル王国分裂の理由にされたりします。

考えさせられる話ですね〜。

ダヴィデとゴリアテ 〜イスラエル王国・第2代国王ダビデ〜

ミケランジェロ「ダビデ像」

イスラエルの初代王サウルは、最初は謙虚でしたが、次第に傲慢になります。

ペリシテ人との戦いでは、神から「アマレク人と家畜を皆殺しにせよ」と告げられていたのに、アマレク王を助けて、最上の家畜を戦利品にしました。

神は怒り、サムエルもサウルの元を去ります。

サムエルが神から新たに見出されたと知らされた人物こそがダビデでした。

ダビデは、イケメン、喧嘩強い、音楽の才能有り、で人からも神からも愛される超ハイスペック男子です!

神から見放されたサウル王は悪霊によって苦しめられるようになり、サウルに仕えたダビデは竪琴でサウルの心を慰めました

カラヴァッジョ「ダビデとゴリアテ」1609~10年

ペリシテ人との戦いに参加したダビデは、身長3mもの巨人ゴリアテに戦いを挑み、投石で撃ち殺します。

この活躍でダビデ人気は高まり、ヒーローになります!

サウルの子ヨナタンとは戦友になり、サウルの娘ミカルとは結婚します。

サウルはそんな人気絶頂のダビデを嫉妬し始め、殺そうとします(え〜!)。

よく描かれるモチーフ

ダヴィデ、ゴリアテの首(額に傷)、剣、投石器、竪琴

サウル王の死 〜サウルの自害〜

ダビデを殺そうとサウルは手を尽くしたけれど、サウルの子ヨナタンや妻ミカルの機転により命を救われます。

ダビデは一旦ペリシテの地に身を隠しました。

そんな中、預言者サムエルが死にます。

そして、ペリシテ人はイスラエルに軍を送ってきます。

ブリューゲル(父)「サウルの自害」1562年 33.5×55.5cm

サウルは神に助けを求めるも、神は何も答えず。

霊媒師を使って預言者サムエルの霊を呼び出すも・・・

「神はあなたの敵になられた。神は王国をダビデに与えられる。あなたと息子は戦死する」と冷酷に告げられました。

事実、イスラエルは大敗し、ヨナタンを含む3人のサウルの息子は殺されます。

そしてサウルは敵になぶられることを避け、自ら命を絶ちました。

ブリューゲルの絵の左下には、自害するサウルの姿が描かれています。

ダビデとバテシバ

このダビデもついにやらかします!

結構ひどい、でもその割に罰は甘い気がします。

ダビデは特別なんですねw

さて、そんなダビデは外を眺めていたらバテシバという婦人の水浴を目撃(のぞき)してしまいます。

フランソワ・ブーシェ

その姿に一目惚れし、姦淫の大罪を犯してしまいます。

そして、バテシバが妊娠したことを知ると、バテシバの夫ウリヤを戦地の最前線に送り、将軍に「ウリヤを敵地に置き去りにしろ」と命じて殺してしまいます(ひどい!)。

未亡人になったバテシバとは、すぐに結婚します。

レンブラント「バト・シェバ」1654年

神は怒り、戒律を破ったダビデを赦さず、バテシバとの間に生まれた最初の子は出生後すぐに死んでしまいます。

・・・いつもより随分軽くないですか神?

その後、ダビデとバテシバは2人目の子供を作ります。

それがイスラエル王国3代目の王ソロモンになります。

そしてのちのイエス・キリストにもこの血脈は続いていきます

このダビデがいかに世界的大スターかってことがわかりますね。

ちなみに、このバテシバ事件以後、ダビデ家には不幸が続きます。

長男アムノンは異母兄弟の妹タマルをレイプし、タマルの兄アブサロムに殺されます。

アブサロムはダビデに許されたが、反乱を起こしてる最中に髪の毛が木に引っかかり宙吊りになっているところを兵士に殺された(これ、いつか描きたいなぁw)。

次はソロモンへ↓

賢王ソロモン 〜イスラエル王国の繁栄〜

ソロモンはダビデが亡くなった後、正式な王になります。

その夜、夢に神が立ちました。

神から何が一番欲しいか尋ねられたソロモンは、「善と悪を正しく見分けられる力」が欲しいと答えます。

その答えを喜んだ神は、「知恵に満ちた賢明な心」を与え、ソロモンが願わなかった富と名声そして長寿まで与えました。

その後ソロモンは、エジプトのファラオの娘と結婚(政略結婚)してエジプトと友好関係を築くなどイスラエル王国を反映させていきます。

プッサン「ソロモンの審判」1649年

上の絵は、審判をするソロモン。

死んだ子のすり替え事件が起き、真の母はどちらかという裁判をしている。

神殿を完成させ、契約の箱(アーク)を安置、豪華な宮殿も作りました。

神からは「掟と法を守るなら、イスラエルを支配するあなたの王座を永遠に存続させる」とまで言われます。

※シバの女王との会見も有名ですが、見た目ただ「会って話す」だけなので割愛。のちのイエスにつながるエピソードらしいので詳しくわかったら後述予定。

さて積極的に政略結婚をしまくっていたソロモン。

いつの間にか王宮には、妻700人、側女300人という大ファミリーを形成していました!

異国からの異教を信じる王妃がたくさんいる状態になります。

そして、ソロモンはそれを放置!(なぜ〜〜?!)

どころか、ちょっと拝んでみたりします(そりゃダメだ!)

セバスチャン・ブルドン

そのせいで神は怒り「あなたは契約と掟を守らなかったのだから、あなたの息子の代に王国を割いて取り上げる」と告げられます。

やっぱりダビデ以外には厳しい神。

王国の分裂 〜北のイスラエル王国と南のユダ王国〜

ソロモンによる繁栄は。イスラエルの人々に課された苦役や重税の上に成り立っていました(王政ってそういうものだけどね、サムエルが散々言ってたのに)。

ソロモンの死後、息子のレハブアムが王位を引き継ぐも彼を支持した12部族はユダ族とベニヤミン族だけでした。

出典:「聖書と名画」より
フラゴナール「ヤロブアムの偶像崇拝」1752年

そんな時にかつてソロモンと敵対し、エジプトに亡命していたヤロブアムがイスラエルに戻ってきます。

ヤロブアムは、北部の10部族をまとめあげ、人々の心がエルサレムの神殿に向かないように、金の子牛像を2体作り偶像崇拝を始めました

モーセの時と同じ金の牛、バアル神への信仰ですね。

預言者たちの時代

イスラエル王国の物語が終わり、王国は南のユダ王国と北のイスラエル王国に別れてしまいました。

そこからイエス・キリストが誕生するまでの物語が、この「預言者たちの時代」です。

表の囲んだところです。

預言者として名を残しているのは、エリヤ、ヨナ、イザヤ、エレミヤ、エゼキエル、ダニエル辺り。

モーセやダビデに比べると知名度こそ無いものの、奇跡を起こしたり戦ったり、大活躍します!

預言者エリヤ 〜異教の預言者と対決する〜

イスラエル王国の7代目国王アハブは、シドン王の娘イゼベルと結婚しました。

イゼベルはバアル信仰者で、アハブはイゼベルのために首都サマリアに異教の神殿を築く。

神に背くアハブのもとに預言者エリヤは現れ、干害が来ることを告げました。

その3年後、エリヤは再びアハブの前に現れ、バアルの預言者と雨乞いの対決をしたいと申し出ます。

エリヤ VS バアルの預言者450人(多っ!)

バアルの預言者が必死に祈るも、雨は一滴も降らなかった。

続いて、エリヤが神に祈ると・・・

作者不明

ドーン!

天から火柱が降り、激しい雨が降りました。

奇跡を目の当たりにした人々はエリヤにひれ伏し、バアルの預言者は捕らえられ、皆殺しにされました。

これを知ったイゼベル王妃は怒って、エリヤ抹殺を命じたため、エリヤは南へ逃亡します。

その後、神からの命で、アハブを悔い改めさせ、後継の預言者エリシャを見出します。

そして、最後は弟子の預言者エリシャの前で天から来た火の馬車に乗って去っていきます!(かっこいい!!)

ピアツェッタ

南のユダ王国滅亡 〜預言者エレミヤ〜 

レンブラント「エルサレムの滅亡を嘆く預言者エレミヤ」1630年

ユダ王国は比較的安定した政治を行なってきたが、強国・新バビロニアやエジプトなどの脅威にさらされるようになりました。

預言者エレミヤは予言を聞いてもらえず、新バビロニアの進行によって約1万人もの人々が首都バビロンに連行される(第1回バビロン捕囚)。

その後、ゼテキヤ王が国を治めるも再びバビロニアに敗れユダ王国は滅亡。

また1万人もの人々がバビロンに連行されました(第2回バビロン捕囚)。

バビロン捕囚によって育った「ユダヤ人の概念」 〜エゼキエルの幻視〜

バビロン捕囚によってユダ王国の住人の多くが、新バビロニアの首都バビロン近郊に強制移住させられました。

この結果、民族的同一性は維持され、自分たちは「ユダヤ人」であるという意識が共有されました。

バビロンのユダヤ人の神への信仰は揺らいでいました。

そんな時、信仰を守る大切さを説いたのが預言者エゼキエルでした。

ラファエロ「エゼキエルの幻視」1516~18年頃

バビロン捕囚から25年後には、復興したイスラエルと神殿の幻視を見て、ユダヤ人が祖国へ帰還し、復興が約束されていることを予言していました。

預言者ヨナ 〜イエス復活の予言(予型)〜

預言者ヨナは神の命令を無視して逃げ出し、巨大な魚に飲み込まれてしまいます。

3日後に吐き出されて復活。

ヨナのエピソードは、イエス復活の予言(予型)と捉えられています。

また、神の命でヨナはニネベという異教を崇拝する町に向かいます。

その町の人々がヨナの予言を恐れて神に赦しを乞うと、ニネベを滅ぼすことをやめます。

ヨナは不平を言いますが、神は信じるものを救うのだと告げます。

ミケランジェロ「預言者ヨナ」1511~12年 / システィーナ礼拝堂天井画

システィーナ礼拝堂の祭壇状のめっちゃいい場所に描かれています。

こんな神に背いて逃げたりする話なのに、ラファエロが大きく良い場所に描いたのには理由があります。

1つ目が、3日後に復活したイエスの予言(予型)であること。

2日目が、悔い改めて、自らを信仰するものであれば全ての民族に祝福を与えることを示しているからです。

↑ちょっと最後だからって綺麗にまとめすぎじゃないですか? とも思うな〜w

ちなみに、このヨナの話はピノキオの元ネタです!

≫追記・旧約聖書【外典】有名エピソード4選「スザンナ・ユディト・トビアス」など

エルサレム再建

ジェームズ・ティソ「エルサレムの再建とヘロで神殿」1886~94年

第2回バビロン捕囚から47年後、新バビロニアはアケメネス朝ペルシャに滅ぼされました。

翌年、ペルシアのキュロス2世はバビロン捕囚民を解放します。

この時、4万人のユダヤ人がエルサレムに戻り、神殿の再建に着手しました。

紀元前515年に神殿が再建されました!

その後ユダヤは、アレクサンダー大王やセレウコス朝シリアなどの異民族支配に翻弄されます。

紀元前37年、ヘロデ王はローマ帝国と協力関係を築き、ユダヤ統治を開始しました。

イエス・キリスト誕生の約40年くらい前までのお話です。

旧約聖書の最後は、「メシアの時代が来る」と、イエス・キリストの誕生を預言して終わります!

まとめ:西洋絵画を最高に楽しむには【旧約聖書】のストーリーを読み解くことが重要

西洋絵画を楽しむためには、モチーフに込められた意味や色に込められた意味などを読み解く必要があります。

その根源は、旧約聖書の物語、新約聖書、ギリシャ神話によります。

・・・わかっていても、しんどいっすよねぇ(笑)

ぼくも、学生時代に理解しようとは思えず、流していました。

また、聖書自体はなんとなくわかった気になっていたので、いけるだろくらいに思っていました(いま思えばなにがいけるんだ笑)。

大きなストーリーの流れ、イスラエル民族の血脈などわかっていないと腹落ちしない物語ばかり。

しかもこれ、欧米では常識の範囲内なんですよね〜〜〜、全てのコンテンツの下敷き・土台になってたりするわけですよ。

例えば、マトリックスは、バビロン捕囚。インディジョーンズはアーク(聖櫃)など。

この旧約聖書の物語を知っているだけで、旧約聖書を下敷きにしたコンテンツをより深く楽しめるってわけですね。

また、イスラエル軍とパレスチナの紛争が終わらないのも聖地エルサレムにまつわる背景があるってわけですね。

>ガザ地区の高層ビルが崩壊 イスラエル軍が空爆(ヤフーニュース)

教養って大事!

人生のQOLを高めてくれますね。

次は新約聖書編、ギリシャ神話編も書いていきます。

それではまた!

参考にした書籍ビジュアル図解聖書と名画(中村明子)」、「ビジュアルワイド 図解 聖書と名画(中村明子)」「マンガでわかる「西洋絵画」のモチーフ(池上英洋)」、「マンガで分かる「西洋絵画」の見かた聖書編(池上英洋)」、「キリスト教と聖書でたどる世界の名画」、「西洋・日本美術史の基本」、「西洋絵画の教科書(田中久美子)」、「名画の読解力(田中久美子)」そしてネット上のいろいろな記事です。

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