こんにちはtomoです!
西洋絵画を楽しむには、旧約聖書や新約聖書、ギリシャ神話などの大きな物語を知っておかないといけません。
映画や漫画や舞台などのコンテンツの元ネタは「聖書や神話」というものはめっちゃあります!
これを改めて知っておくということは「人生の質を高める」といっても過言ではないです。
この記事では、天使、天使の階級や悪魔、魔女について名画とともに紹介をしていきます!
旧約・新約聖書にはさまざまな天使が登場します!
大天使ミカエルやガブリエル、ウリエル、ラファエルなどです!
天使には階級があって有名な彼らは下から2番目の階級なんです。
会社で言ったら平の一個上、課長ってところです。天使の中で一番階級が高いのは、熾天使セラフィム、この赤いのですねw pic.twitter.com/X2f10unJgq
— tomo@アートの学校 (@to_artliteracy) May 8, 2021
この記事は、「西洋絵画を最高に楽しむには【旧約聖書】のストーリーを読み解くことが重要」の捕捉的な記事です。
この記事を読んでほしい人
・西洋絵画って何だかわからなくていまいち楽しめない
・ちゃんと古典も理解したいけど何を勉強すればいいかわからない
・ポイントだけ抑えてサクッと西洋絵画を楽しみたい
そもそも西洋絵画は「旧約聖書」などの大きな物語の布教のために描かれたものです。
そこに莫大な労力と才能と資金が注ぎ込まれてきました。
文字の読めない一般の人々にも聖書や神話を伝えるために、プロデュースされた国家プロジェクトだったりするわけですね。
日頃は最新の展覧会情報や絵画の技法についてなども紹介していて、現代アート寄りな情報発信をしています。
で・す・が★
古典はやっぱり素晴らしく、それなくしては現代も成立しないです。
改めてぼくも古典絵画を学びなおしつつ、わかり易くポイントをブログにまとめていきます。
この記事を読むメリット
・西洋絵画を楽しむためのポイント、旧約聖書のストーリーがわかる
・西洋絵画にはモチーフや色に意味があることがわかる
・古典絵画を読み解くと現代美術や映画、アニメ、漫画などをより深く楽しめる
画歴20年の画家で、現在は高校美術教師をしています。
東京芸術大学日本画科を卒業し、ドイツで現代美術を学んできました。
西洋古典絵画は、事前の知識がないといまいち楽しめないんですよね~。
中・高となにげにキリスト教の私立学校に通っていたので、その知識をベースに「なんとなく」で鑑賞してきました。
正直これまで正面から向き合ってはいませんでした・・・。
あらためて古典絵画と向き合ってみたところ・・・めっちゃ面白いじゃん!!!
というのが最近の感想です。
そこで、わかりやすく旧約聖書の物語を追いながら絵画を紹介していきます。
一緒に楽しみながら学んでいただけたら幸いです。
参考にした書籍 「ビジュアル図解聖書と名画(中村明子)」、「ビジュアルワイド 図解 聖書と名画(中村明子)」「マンガでわかる「西洋絵画」のモチーフ(池上英洋)」、「マンガで分かる「西洋絵画」の見かた聖書編(池上英洋)」、「キリスト教と聖書でたどる世界の名画」、「西洋・日本美術史の基本」、「西洋絵画の教科書(田中久美子)」、「名画の読解力(田中久美子)」そしてネット上のいろいろな記事です。
旧約聖書【天使紹介】 ~悪魔は天使から生まれる~
旧約聖書の中にしばしば登場する天使は本来、霊的な存在として考えられていて性別はありません。
このため、幼い子供や少女だったり、髭をはやした男性だったりとさまざまな姿で描かれてきました。
天使の起源は、古代オリエントや地中愛地方の神話などにあるとされ、5世紀ごろから階級が体系化されていきました。
最も階級が高いのは、神への愛の炎で体が燃えているセラフィム(熾天使)です。
旧約・新約2冊の聖書を通じて活躍するのは、天使の中では下の方の階級である「大天使のミカエル」や「大天使ガブリエル」など。
多くの天使は神の伝言役です。
ミカエルやガブリエルなどの人気のある天使は、大きな翼を持った青年の姿で描かれることが多いです!
ルネッサンス期には、「光輪」いわゆる「天使の輪」も定番のシンボルになりました。
よく描かれるモチーフ 翼、光輪(ニムブス)、使者の杖、ユリ(受胎告知)、剣(最後の審判)、ラッパ(最後の審判)、ヤシの枝(殉教者)
大天使ミカエル ~ルシファーとの戦いで有名~
ユダヤ民族の守護天使「大天使ミカエル」です。
意外と階級は低くて、会社で言ったら平社員の一個上、課長クラスの天使です。
その割には人気も高く、認知度も最も高い天使のひとりです。
旧約聖書の「ダニエル書」に登場するミカエルは、キリスト教により「戦う教会」の守護者とされた天使です。
新約聖書の「ヨハネの黙示録」では、ミカエルと悪魔の戦いが記され、宗教改革以降はキリスト教と反キリスト教の闘争エピソードとして語られてきました。
このため、「戦う天使」として楯や剣、槍を持ち甲冑を身につけた姿で描かれることが多いです。
また、ミカエルは「審判の天使」として死者の魂を計量している姿でも描かれます。
ここにはギリシャ神話において旅人の守護者で、死者を冥界に導く役割を担っていたヘルメスの影響があります。
よく描かれるモチーフ 剣、甲冑、天秤、楯、悪魔
大天使ガブリエル ~神の意を伝えるお告げの天使~
神の伝言係のガブリエルは、旧約聖書のほかにイスラム教の「コーラン」にも登場します。
コーランの中でも神のメッセンジャーの役割を担い、天使ジブリールとしてムハンマドに神の啓示を授けます。
キリスト教においてガブリエルは、洗礼者ヨハネと聖母の誕生を予言します。
イエスの誕生や復活を告げ、「最後の審判」でラッパを吹いて死者をよみがえらせる天使でもあります。
中央のミカエルの回りでラッパ吹いてる天使がガブリエルですね、異時同図法で描かれています。
左が天国で右が地獄。
よく見ると喜んでいたり、追い立てられて地獄に行っていたり。ずっと見てられますねw
よく描かれるモチーフ ユリ、笏(ユリの紋章が入っている)、マリア、ヨセフ、死者
大天使ウリエル ~存在感の薄い悲しい大天使~
ウリエルはキリスト教の偽典(聖書の正典・外典に含まれない文書)の「エノク書」の中で、ノアに洪水が迫っていることを知らせる天使として登場します。
新約聖書外典の「ペトロの黙示録」では、地獄の罪人を苦しめる天使ともされています。
正典の中には登場しないため、ミカエル、ガブリエル、ウリエル、ラファエルの四大天使の中で最も影が薄く、ウリエルをはずして三大天使と呼ぶこともあります。
ボッティチェリの描いた最強パーティからもはずされていますね・・・。
悲しきかなウリエル。
あんまり、ちゃんとしたエピソードがないために、色々都合よく宗派によって使われちゃっているみたいです。
ヤコブと取っ組み合いして「イスラエル」の名前を与えた天使がウリエルだとする見方もあります↓
よく描かれるモチーフ 本、炎(太陽)
大天使ラファエル 〜巡礼者や旅人の守護天使〜
若者の庇護者、旅人の守護聖人として、トビアスとのエピソードで描かれることが多いラファエルです。
トビアスと一緒の時は旅人の服を着ていたり小箱を持っていたりします。
トビアスに奇跡の魚を授けた天使として人気がありますが、名前が出てくるのは旧約聖書外典の「トビト記」のみ。
新約聖書には出てきません。
偽典の「エノク書」では、冥界の旅の案内人として登場します。
ラファエルという名前は「神が癒したもの」という意味があります。
ユダヤ教では「癒し」を司る天使とされ、天使と戦ったヤコブの傷を直したりしています。
よく描かれるモチーフ 魚、布袋、旅人の服、巡礼杖、サンダル、小箱、聖体器
熾天使(セラフィム) & 知天使(ケルビム)
天使の階級のうち、最上級に位置するのが熾天使(セラフィム)。
セラフィムは6つの翼を持つとされています。
この赤いのですね。神への愛の炎で燃えています。
赤=燃えてる・・・ちょっと知ってないと現代人には理解し難い発想ですねw
ちなみに、セラフィムもケルビムも総称で、固有名では無いようです。
ミカエルやルシファーのように固有名がついてるほうが、位は低いというのは本当に意外ですよね。
そして、次に位が高いのが智天使(ケルビム)です。
創世記の中でアダムとイヴを追放した神は、ケルビムに炎の剣を与えてエデンの園の門番としました↓
旧約聖書に収められた預言者の書「エゼキエル書」の中では、4つの顔と4つの翼を持つ天使として登場します。
画家の創造では、1〜3対の翼を持った頭だけが浮かんだ姿でケルビムを表現しました。
神の周りを飛び回るように表現されています。
あんまり意味のない場合も多く賑やかしとして描かれることも多いようですw
NO.2なのにそんな扱い・・・。
こちらはイエスとマリアがいるので新約ですね。
正母被昇天のエピソード場面です。聖母子の画家とも言われるラファエロの作品。
よく描かれるモチーフ 1〜3対の翼、炎の剣
悪魔 〜天使が神を裏切り堕天使(悪魔)となる〜
罪人をサタンが飲み込み、もうひとつの口から吐き出して苦しみを与え続けています。
悪魔は神に反逆した元天使です。
旧約聖書の「イザヤ書」の中で、神を裏切り天から落ちた堕天使として語られています。
この世界の諸悪の根源は天使の裏切りにあり、地上に悪を作り出したのは神ではないと説明しています。
堕天使長のルシファーは、元天使しかも熾天使セラフィムでしたが、堕天して神の敵の親玉、魔王サタンになりました。
その他の堕天使つまり悪魔たちはサタンの下僕となります。
旧約聖書の中で示されたイメージは新約聖書に受け継がれ、広く世の中に浸透しました。
やがて、異教の神々も悪魔とみなされるようになります。
さらに、画家たちは、古代神話や東方の伝説からもイメージを借りてきて、実にさまざまな姿形をした奇怪な悪魔を作り上げています。
中央の牡山羊の悪魔に、魔女たちが生贄の赤子を差し出しています。
魔女って帽子にほうきのイメージだなぁ
回心、悪魔祓い、誘惑の克服、最後の審判、地獄などに関連して描かれることが多いモチーフです。
魔女については次に書いていきますね。
よく描かれるモチーフ 角、尻尾、翼、羽、槍、鍬(くわ)、ピッチフォーク
魔女 〜悪魔に魂を売り特殊な能力を得る〜
旧約聖書の「出エジプト記」に、「女呪術師」として登場する魔女。
中世後期以降、魔女は「悪魔に誘惑されて契約を結んだ者」として、ヨーロッパに広まりました。
15~17世紀には魔女狩りが起き、この時期に魔女狩り関連の絵が多く描かれました。
背景にはキリスト教の女性嫌悪(ミソジニー)や、それに影響された悪魔学の成立があり、女性性を否定した姿や年老いた醜い魔女像がまだちます。
一方で、デューラーの名作「4人の魔女」のような、豊満な肉体と美しく結い上げられた髪で女性性のプラスの側面を盛り込んだ魔女像も描かれています。
古代女神の三美神をモチーフに描かれたパロディのようです↓
よく描かれるモチーフ 夜行性の鳥、ヒキガエル、蛇、ほうき、悪魔、ドクロ、鍋、壺
まとめ:旧約聖書【天使紹介】階級解説 ~悪魔は天使から生まれる~
今回は天使と悪魔そして魔女について書いてきました。
この辺は、新約聖書編を深掘りしていくことでまた追加情報も盛り込んでいけると思うので、今後また詳しく書いていきます。
ファンタジー好き、漫画アニメなどで親しんでいる名前も多くて楽しいですねw
旧約聖書・正典のほうをまだチェックしていない方は関連記事からどうぞ。
ではまた!
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