こんにちはtomoです。
今回は岡本太郎の「太陽の塔」をテーマにした映画レビューを書いていきます。
岡本太郎について、かなり踏み込んだところまで知ることができたので大満足の映画でした!
さらに2018年にはこれまで一般非公開だった太陽の塔の内部が解放されたので、注目が集まっています。
雑誌でも特集されていますね↓
≫Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2021年 6月号 [岡本太郎とあいみょん]
この記事を読んでほしい人
・岡本太郎について知りたい
・日本人の美意識のルーツ(起源)を知りたい
・アートとは何か、岡本太郎から学びたい人
映画レビュー
監督:関根光才
音楽:JAMAPUR
出演:織田梨沙、糸井重里、椹木野衣、Chim↑Pom、菅原小春ほか
1970年、高度経済成長に沸く日本で、「人類の進歩と調和」というテーマで開かれた大阪万博。そこでひときわ異彩を放っていたのが、前衛芸術家・岡本太郎が制作した太陽の塔である。太陽の塔が今なお人々を魅了しているのはなぜなのか。なぜ、太陽の塔だけがのこったのか。その謎に迫っていく。岡本太郎は、太陽の塔を通じて、今なお人類を挑発し続けているー。
(C)2018 映画『太陽の塔』製作委員会
岡本太郎のルーツから太陽の塔の謎まで深掘りされています。
この映画見て太陽の塔見に行きたくなりました〜!
画歴20年の画家で、現在は高校美術教師をしています。
東京藝術大学日本画科を卒業し、ドイツで現代美術を学んできました。
岡本太郎は、日本以外ではまだまだ評価されていない特殊な立ち位置の画家ですが、時代に左右されないパワフルな神秘性を持った作家です!
この映画でぜひ岡本太郎の魅力を知って欲しいです〜^^
それでは概要から紹介していきます!
「太陽の塔」概要
1970年、高度経済成長に沸く日本で、「人類の進歩と調和」というテーマで開かれた大阪万博。
そこでひときわ異彩を放っていたのが、前衛芸術家・岡本太郎が制作した太陽の塔である。
太陽の塔が今なお人々を魅了しているのはなぜなのか。
なぜ、太陽の塔だけがのこったのか。
その謎に迫っていく。
取材対象は、万博当時太陽の塔の制作に関わった関係者はもちろんのこと、岡本太郎の専門家、さまざまな分野の学者・批評家をはじめ、現代アーティストや表現者たちと多岐にわたる計29名で、取材は、北海道、東北、沖縄からチベットまで及ぶ。
取材対象へのインタビューを中心に構成されるが、岡本太郎のルーツ、そして同時期に制作された“明日の神話”のテーマを探ることで、太陽の塔からのメッセージを浮き彫りにしていく。
岡本太郎は、太陽の塔を通じて、今なお人類を挑発し続けているー。
(C)2018 映画『太陽の塔』製作委員会
「太陽の塔」感想
岡本太郎の「太陽の塔」は今もなおその場に残っています。その理由がわかる素晴らしい映画でした!
映像だけでなく、音楽も内容も良かった!
予告編だけでも垣間見れるのでまだ見てない方はぜひ。
また、岡本太郎の生い立ちからバックボーンまで読み解いてくれます。
出演者の皆さんも岡本太郎の作品の力に少なくない影響を受けています。
「太陽の塔」と「明日の神話」の繋がりには、人類の向き合わなくてはいけない問題提起があります。
原発・公害・産業廃棄物・格差などを考えさせるきっかけを与えてくれますね!
ここからは、岡本太郎についての解説と考察になります。
【岡本太郎】とは?
1911年生まれ。岡本一平とかの子の長男。東京美術学校に入学、父母の渡欧に同行し、1930年からパリに住む。数々の芸術運動に参加しつつ、パリ大で哲学・社会学・民族学を専攻、ジョルジュ・バタイユらと親交を深める。帰国し兵役・復員後、創作活動を再開、現代芸術の旗手として次々と話題作を発表した。1970年の大阪万博テーマ館もプロデュース。一方、旺盛な文筆活動も続けた。1996年没。
ソース
東京美術学校在学中に渡仏。ピカソや抽象画家たちに刺激されて「痛ましき腕」を描きます。
岡本太郎の言うアートとは?
抽象画を描きたかった岡本太郎ですが、半抽象的な作品「痛ましき腕」を描いてしまいました。
これを見たシュルレアリスムの父と呼ばれるアンドレ・ブルトンに「この絵をシュルレアリスム展に出せ」を言われます。
シュルレアリスム画の派閥へ正式に招かれたわけです。
しかし、岡本太郎は入りませんでした。
岡本太郎にとってのアートは「派閥や画風などで区切られたようなものではない」と考えていることがこのエピソードからわかります。
パリ大学で哲学・社会学・民族学を専攻、ジョルジュ・バタイユらと親交を深める。
岡本太郎はフランスに留学中「人間」とは何か?という問いを突き詰めるために「哲学・社会学・民族学」などを学びます。
この頃から古代や民族にも興味関心があったことがわかります。
岡本太郎にとってのアートとは、呪術的なもの本質的なものとして純粋なエネルギーの塊という捉え方をしています。
岡本太郎の書いたベストセラー本「今日の芸術」(1954)に書かれている3原則がわかりやすいです。
「うまくあってはならない、きれいであってはならない、ここちよくあってはならない」
ぼくは岡本太郎を「神秘型」の作家だと捉えています。
≫アーティストは3つの型「市場・神秘・社会」に分類・分析する方法を紹介
縄文との関わり、岡本太郎の功績
1952年、岡本太郎は日本で初めて縄文土器をアートの文脈で評価した人物です。
縄文時代は1万年も続いた日本のルーツであり、オリジナル。
縄文土器は、狩猟採集社会の時代性を現代に伝えるタイムカプセルのような役割を持っています。
この縄文土器の炎のような形状や女性を象った土偶などからインスピレーションを得て制作を行っていきます。
「四次元との対話-縄文土器論」を美術雑誌『みずゑ』に発表しました。
「太陽の塔」と「明日の神話」は繋がっている
「太陽の塔」は大阪万博のシンボルとして建設されました。
内部には「生命の樹」が作られていて下から上に、過去・現在・未来と螺旋状に道を構成しています。
血管のように伸びた枝にはそれぞれの時代の生命がモチーフとして配置されました。
太陽の塔で展示されたもの
過去には「調和の広場」アメーバなどの原生生物が広がる混沌とした様子。
現在に「現代のエネルギー」人間の生き方や多様さ、素晴らしさや尊厳。
未来には「未来の空間」人間尊重の未来都市の姿。
その「未来の空間」の展示会場の一角には「矛盾の壁」というブースがあります。
そこには大阪万博のテーマ「人類の進歩と調和」に対する疑いの証拠を展示しました。
原発・キノコ雲などの負の遺産。そして世界を支える無名の人々を展示しました。
「太陽の塔」と「明日の神話」は対をなすと言われています。
「明日の神話」に描かれているのは原爆が炸裂する悲劇の瞬間です。
しかしこの作品は単なる被害者の絵ではありません。
人は残酷な惨劇さえも乗り越えることができる、その先にこそ「明日の神話」が生まれるのだと岡本太郎は言っているのです。
太陽の塔の後ろには黒い太陽があります。
これは、人が作り出した人工の太陽、つまり原子力を象徴しています。
この原子力についての問題を抱えていることを忘れてはならない。
そう強く訴えている気がします。
まとめ:「太陽の塔」は壊せなかった
現在、大阪万博記念公園にはシンボルとして「太陽の塔」のみが残されています。
太陽の塔は万博の終了とともに撤去されるはずだったのに残ったのです。
映画の中では「太陽の塔は壊せなかった」のだと語られています。
こんな訳のわからない宗教的・呪術的な建築物を壊すことは怖すぎてできない。
そう思われたのです。
それほどまでに狂気を内包した建築物を作り出した岡本太郎は本当にすごいですね。
幼少の頃から反骨精神の塊みたいな戦いの人生を送ってきたことで、美術史の文脈で正式な評価はされづらいポジションにいますが、今もなおその作品は生き続けています。
そして多くの人を魅了し続けています。
岡本太郎の思想は極端なものなので、共感・参考にしていいものなのか疑問はあります。
しかしその作品と人物は紛れもなく本物だと思います。
それではまた!
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太陽の塔内部の写真などいろんな角度から観れるので楽しいですw
Kindle Unlimitedは、初月無料で読めるので超お得ですよ↓
Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2021年 6月号[岡本太郎とあいみょん]、カーサブルータス編集部 (編集)、マガジンハウス; 月刊版 (2021/5/8)
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