こんにちは、tomoです。
画歴20年の画家で、東京芸大を卒業しドイツ留学を経て、作家や美術教育などを通して活動しています。
このブログでは、「アートリテラシーを高めて豊かな人生を楽しむ」「アート思考をビジネスに生かす」をテーマに発信しています。
今回紹介するのはデュシャンです。
デュシャンについて知っておくと現代美術の『はじまり』が分かります。
物語のプロローグ部分ですね、めっちゃ大事なんですが読み飛ばしちゃって
ってなることありますよね?
まさにそんな存在のデュシャンさんです。
この記事を読むメリット
現代アートの基礎がわかる!
現代アートに興味が湧く!
トイレってアート作品なんだと気付く!?
それでは説明していきますね。
現代アートを語る上でデュシャンは外せない理由
デュシャンの作品は現代アートを語る上で“デュシャン以前、以降”という使われ方をする程に重要な存在です。
歴史の変わり目ですね。私のような末端の画家が彼を語るのはおこがましいというくらい偉大なお方です。
ドラゴンボールで言ったら、超サイヤ人になる前と後くらいの差があります!
代表作
デュシャンはこの作品(男性用小便器)を偽名を使って「ニューヨーク・アンダパンデン」展に出品しようとしました。
デュシャンはこのアンダパンデン展の委員であり、出品料を支払えば無監査で誰でも出品できる規則であったにもかかわらず、協会はこの作品の出品を許可しませんでした。
その後デュシャンは展示されなかったことを新聞を通じて世界に問いかけ物議を醸しました。
もっともアートとは遠いところにある物(男性用小便器)をアートとして成立させられないか?
その問いがアートになる
アーティストの仕事は問いを発することだとも言われますが、まさにデュシャンのこの作品こそが『問い』の原点と言えるのです。
その後作品は行方不明。デュシャンの作品の中で最も有名な作品。
続いてはこちらの作品。
レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザを複製したポストカードに、鉛筆で口ひげやあごひげを書き加え、題名をつけたものです。
タイトルの意味は「彼女はお尻が熱い」、つまり「性的に興奮した女性」という意味だそうです。
かなり挑発的な作品です。
歴史的名作に落書きした上、下ネタを乗せるという荒技をかましているわけですねw
これは当時、そうとう炎上したことでしょう。
まさにそれがデュシャンのねらいで、チェスプレイヤーである彼の一手であると言えます。
8年かけて作られたが、未完の作品。
刺激的なタイトルと、素材の特性、偶然できたひび割れすらも作品にしてしまった代表作のひとつ。美術館の職員が誤ってガラスにひび割れを入れてしまったらしいが本人はかえって良くなったと言ったらしい。
ここまでで、3つの代表的な作品をみてもらいました。
いわゆる絵画や彫刻とは全くイメージが違いますよね?
全く新しいアートのジャンルやあり方を作ったのがデュシャンだということです。
デュシャンについて
マルセル・デュシャン(1887.7.28-1968.10.2)フランス生まれ、のちにアメリカに帰化。
画家、彫刻家、チェスプレイヤー。
デュシャンの功績
デュシャンのいくつかの作品の共通項として、レディ・メイド(既製品)があります。デュシャン以前まで誰かが作った日用品を”芸術品”だと言った人はいませんでした。
とはいえ、ただ日用品を持ち込むのではなくデュシャンの演出として
・タイトルの工夫
・モチーフの選別
・新たな角度からのアプローチ
などがなされていて、ユーモアや皮肉が込められていたりと一つの解釈で片付けられない仕掛けが何重にもされているのです。計算された戦略と言えますね、チェスプレイヤーとしての経歴が垣間見えます。
デュシャンからアートを学ぶ
彼の作品はそれまでのアートの見方を変えてしまいました。それをよく表す言葉を残しています。
「便器を素晴らしいと思う人はいないだろう。つまり危険なのは”アート”という言葉なのだ。」マルセル・デュシャン
美術館にあるからとか
値段が高いから
“アート”ではないというわけですね。
こうした思考停止は日常的におこりがちです。
“凝り固まった既成概念を破壊する”
これが現代アートの新しい価値観だと知ったときは衝撃的でした。
まとめ:アート作品には歴史的つながりがある
今回はデュシャンについて書きました。
- デュシャンは美術史の変わり目である
- 代表作の「泉」や「L.H.O.O.Q.」
- レディ・メイド(既製品)をアートにする
- 新しい価値観の提示
デュシャンの作品は、簡単に理解できない仕掛けがされていて、未だに分からないことも多いです。それが魅力になり、いまだに人を惹きつけるのでしょう。
さて、ここでもう一つ大事なことをお伝えさせてください。
美術作品には同じように分かりづらいものがあることに気付きましたか?
僕もこれまで美術館で何度も
と言ってきました。
アート作品には『文脈・コンテクスト』といわれるものがあるのです。
『文脈・コンテクスト』とは歴史上のつながりのことです。
これがアートの敷居を上げている原因だと思っています。
しかし、一方でアートの魅力でもあるのです。
冒頭で語った『超サイヤ人』を例にすると、
なぜ悟空は『超サイヤ人』になることができたのかを知っているかどうか(サイヤ人は怒りの感情で超サイヤ人になれます)
それによって物語を楽しめる度合いは変わってきますよね?
(伝わらなかったらすみません笑)
それが『文脈・コンテクスト』です。
現代アートには、多かれ少なかれデュシャンの影響があります。
全く『文脈・コンテクスト』を意識していないものや意識して展示されていないものをアートとは呼ばないのです。
『文脈・コンテクスト』というものがあるのだと意識して作品を見るだけで、見え方は変わりますよ!
私も思考停止せずに、新しい作品を作ったり、ものの見方を探っていきたいと思います。
それがアートリテラシーを高めます。
それではまた!
デュシャンについてもっと知りたい方はこちらをどうぞ。
あまり日本で特集される機会は少ないので画集で予習しておきましょう。
図書館にもあるはずですよ!チェックしてみてください。
こちらの本たちにもデュシャンはよく扱われているので興味があればぜひ!
こんにちは、tomoです。このカテゴリーでは「アート思考をビジネスに生かす」をテーマに発信しています。アート思考に関する本が多数出版され、書店でもよく見かけるようになりました。現代はVUCAの時代と言...
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