こんにちはtomoです。
今回は「クレーの天使」谷川俊太郎 を読んでめっちゃ感動したので「これは残しておかなきゃ!」と思って書いています。
クレーの絵は「可愛らしかったり」、「密度のある幻想的な画風」で惹かれてきました。
また、谷川俊太郎さんの詩集なども、たまに手に取って開いて読み、浮遊感を味わう・・・といったことをしてきました。
その両方が楽しめる【詩画集】ということで、これはめちゃくちゃオススメです!
この記事を読んでほしい人
・クレーについて深く知りたい
・最近、心が疲れていて癒しがほしい
・アート思考、アートリテラシーを高めたい
詩集ってなかなか最後まで読みきれなかったりしませんか?
そもそも、そういうものではないのかもしれません。
でも絵本や詩画集であれば、楽しみながら最後まで読めるし、何度も繰り返し読みたくなります。
この記事を読むメリット
・クレーについて詳しくなれる
・「クレーの天使」の魅力を知って少し元気になれる
・想像力を刺激され、アート思考・アートリテラシーが高まる
画歴20年の画家で、現在は高校美術教師をしています。
東京藝術大学日本画科を卒業し、ドイツで現代アートを学んできました。
クレーの故郷ミュンヘンにも留学中に遊びに行きましたし、バウハウスについても美術館で直に学んできました
とはいえ「クレーの天使」に書かれているのはそんな「頭でっかち」な内容ではなく・・・
人間くさい様々な天使たちの様子です。
谷川俊太郎さんも最後のあとがきでこう書いています。
私の心にかくれている天使たちが、あなたの心に潜む天使たちを、目覚めさせてくれることを願っている。
人間に対する想像力がなければ、天使の姿は見えないのだから。
「クレーの天使」谷川俊太郎 天使という生きもの(抜粋)
パウル・クレー(1879〜1940年)について
スイスの画家。1879年、スイスの首都ベルン郊外のドイツ・ミュンヘンのブーフゼーで生まれました。
父は音楽教師、母も音楽学校で声楽を学ぶといった音楽一家で育ちます。
クレー自身も、早くからヴァイオリンに親しみ、11歳でベルンのオーケストラに籍を置くなど、その腕はプロ級でした。
27歳(1906年)で結婚した妻もピアニストです。
クレーの作品には「ポリフォニー」や「フーガ」などの音楽用語が使われることもあります。
意外と音楽も絵画も両方できる人物は少ないです。
一方で、絵画への関心も幼少の頃から高く、文学にも興味を持って創作などをしていきました。
迷った末にクレーは音楽や文学ではなく絵の道を選ぶことにはなるのですが、音楽や文学への関心は薄れることはなくありませんでした。
1日にヴァイオリンを何時間も練習したり、詩を作って日記にするなど、クレーの絵画・芸術に対する考えや方向性を鍛え上げていく場になります。
当時、ミュンヘンはパリと並ぶ芸術の都で、そこでカンデンスキーの恩師フランツ・フォン・シュトゥックの指導を受けます。
画一的な学校の教育は、クレーには合わず一年で退学してますw
カンデンスキーの創った「青騎士」に参加し、バウハウスでも教鞭を取りました。
晩年は、ナチスによる迫害と、皮膚硬化症という奇病に苦しみながらもめざましい創作を展開しました。
ピカソやブラックもこの頃それぞれにクレーを訪問しています。
今回紹介する「クレーの天使」は、手がうまく動かないこともあって、単純化された線による独特の造形で、背もたれのある椅子に座り、白い画用紙に黒い線を引くことにより天使を描いては床に落とすということを繰り返していました。
こうして生まれたのが「クレーの天使」たちです。
そして、イーゼルに「無題(静物)」を残して入院、1940年6月に療養先の病院にて永眠しました。
「クレーの天使」概要
45点の絵と18編の詩が奏でる二重奏
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響きあう絵とことばの贈りもの
目覚めておいで、心にひそむ天使たち
前作『クレーの絵本』に続く待望の書き下ろし
先ほどは、クレーについて紹介しました。
晩年の様子はお伝えした通り、手も満足に動かせない状態でひたすら単純な線で描いて、落としていく状態。
そうして生み出されたクレーの天使たちを紹介します。
理由はわかりやすい表情や形、仕草にあると思われます。
「クレーの天使」の表紙絵にも使われていますね
「天使というよりはむしろ鳥」
なんでもしってる
おとななのか
むじゃきなこどもなのかつばさはどろだらけで
きのう
モーツァルトのソナタの
すみっこにいた
きょう
ゆうやけぐものうえに
ちょこんとこしかけていたおんなでも
おとこでもないにおいとしおいた
きのねんりんにまぎれ
こいぬのひとみにひそみかくれんぼしていた
谷川俊太郎「クレーの天使」
あのてんし
鳥と天使の境目なんて人間にはわからないよなぁ、なんて思ったら、そのあたりに天使は溢れている気がしてくる。
そんな妄想をしてしまいました^^
死ぬ間際に思い出したいろんな後悔や疑問に、自分の代わりに天使が泣いてくれている。
そんな1枚なのかもしれません
「アート思考」の落とし穴
このブログを読んでくださる方は、少なからずビジネスにも興味があったり、自分の生産性を高めていきたいと思っている方も多いはずです。
「アート思考」や「アートリテラシー」を高めることをテーマに発信しているので、これは自戒も込めた話なのですが・・・。
「アート」そのものは、生産性や効率化の対局にいる存在である
これを忘れないようにしておくべきです。
大量の情報や現代的な思考に触れていると、ついつい生産性や効率化について考えてしまいます。
そして、現状に閉塞感や限界を感じて、「アート」に活路を見出そうとしている。
・・・はずなのに、また「アート思考」で生産性を!
という矛盾にはまってはいませんか?
これは何度もループしてしまいます(ぼくもです・・・w)
矛盾の正体「アート思考」は「マネジメントスキル」
「クレーの天使」のあとがきに谷川俊太郎さんが描いていた文章にハッとさせられました。
翼を得たイカロスはむなしく海へと墜落した。ロケットを得た宇宙飛行士たちは、口をそろえて宇宙から見た地球のあやうい美しさを言う。空を飛ぶ天使たちの視点で見る人間と、地をはう虫の視点で見る人間とでは、どちらが現実の人間に近いかは言うまでもない。
「クレーの天使」谷川俊太郎 天使という生きもの(抜粋)
この文の前に、「同じ1人の人間が天使にもなれるし悪魔にもなれる。もし、人が人間を離れて天使になったら、そこには必ず悪魔が潜んでいる」と書いてあります。
これ、人間の本質はグレーゾーンにあるってことですよね。
「極端に走るな」と、あくまでバランスの取れた存在でいるべきだと言われている気がします。
「アート」は、純粋に文化芸術、美しさ、文脈などを自己満足として楽しむもの。
「アート思考」は、アーティストの思考法を模して、ビジネス(目的)をマネジメントしていくスキルであること。
ビジネスを目的に習得したい「マネジメントスキル」としての側面を持っている限り、この矛盾からは逃れられないですね。
また、生活のために作品を作る「アーティスト」はもっと深刻な自己矛盾に苦しんでいます(実は・・・)。
でも、そんな矛盾を抱えて生きていく存在こそが「人間」。
まとめ:心が癒される【詩画集】のすすめ「クレーの天使」谷川俊太郎
今回はパウルクレー(主に晩年)について、「クレーの天使」「アート思考の落とし穴」などについて書いてきました。
癒しと気付きの両方をくれる谷川俊太郎さんの文章。
晩年の熟成された感性をもとに描かれた「クレーの天使」。
それらが同時に味わえる【詩画集】であるこの本は、一生大事にしていきたい1冊になりました。
また定期的に読んで癒されていきたいと思います。
それではまた!
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