ぼくは2013年に大学卒業後、すぐにドイツ留学を1年間してきました。
留学といっても、大学などには入っておらず語学留学ビザで1年間の滞在をしたという程度です。
それでも、ドイツの大学に入り直しその後大学院まで出るくらいのつもりで日本を出ました。
結果、半年ほど様々なところでドイツを見て周り考えに考えた結果、日本に帰ることにしました。
すぐに帰るのも勿体ないと思ったので、ドイツ・ベルリンを起点に他のヨーロッパの国を見てまわったり、ドイツ国内を旅行したりして有意義な時間を過ごすことにしました。
そこでであった人達との思い出は今でも大切ですし、心の底からいい体験だったと言えます。
留学はできるのであれば、ぜひ行ったほうがいいとすら思います!
ではなぜ「ドイツ留学をやめた方がいい」と思うのか書いていきます。
このブログを読んで欲しい人
・アーティストになりたい、留学のメリットやデメリットを知りたい人
・アーティストになりたくて海外留学を考えているけど、どの国にしたらいいかわからない人
・アーティストになりたくてドイツ留学したいけど、行くか悩んでいる人
ドイツ留学経験を通じて得たことや逆に得られなかったこと、反省点。
いまのぼくなら、こうするだろうなということを書いていきます。
この記事を読むメリット
・アーティストとして成功したいなら行くべき国がわかる
・ドイツ留学がなぜオススメじゃないのかわかる
・留学のメリット・デメリットがわかる
ぼくは東京芸術大学を卒業し、ドイツ・ベルリンに1年間の留学をして現代美術を勉強してきました。
現在は、高校美術教師をしています。
今回は、留学経験を経てしばらく経ち、社会経験をする中で今ならこうするだろうなということを、これから留学する人に伝えたくて書きました。お役に立てれば幸いです!
【ドイツ留学経験者】がドイツ留学をやめた方がいいと思う理由
なぜアーテイストにドイツ留学をおすすめしないかというと・・・
ーキャリア的にプラスではないからです。
要約するとこうなります。
もちろんアーティストになるなら、という前提条件がつきます。
しかし、学問でも医療でも現在ドイツはトップではありません。
そのため、他の分野でも多く当てはまることかとも思います。
これはドイツをディスってるとか、後悔しているとかの話ではないので誤解のないように補足していきます。
音楽家を目指している、しかもクラッシックの分野でベルリンフィルに入りたいなどの場合は別でしょう。
ぜひドイツ留学など目指すべきだと思います。
要は「ブランド」なのです。
留学経験は「ブランディング」になります。
アーティストは自分という商品を売っていくわけですが、そのバックにはストーリーが必要不可欠です。
そのストーリーにドイツ留学がどれくらい貢献してくれるかというと正直あまり期待できません。
ちなみにドイツのアート事情
非常にアートに対する尊敬や理解の深い国です。
ただし、非常に内省的でざっくりとした個人主義的な価値観が主なスタイルです。
これは、アートに対する向き合い方としては非常に成熟していて、むしろお手本にすべき姿勢だと思います。
ドイツ国内でのアートの消費は割と盛んなので、アーティストが生きていける環境としては日本よりもはるかに可能性があります。
しかし、食っていくのが精一杯という印象は拭えません。
そして、世界のメインストリームのアートシーンからはかけ離れているため、アカデミックな場での評価以外で国際的に影響力を持つことは厳しいでしょう。
いま留学するならアメリカ・NY、せめてイギリス・ロンドン
ドイツは日本と同じ敗戦国なんですね。
「急に世界史?」
と思われるかもしれませんが、重要な話です。
歴史というものは勝者が作ります。そしてルールを作るのも勝者です。
現在、現代アートの価値を決め日々新しいルールを更新し続けているのはアメリカNYの一部の数人だと言われています。
ま、それは噂なので置いておいて。
事実として世界の主なマーケットとして巨大な市場を持っているのはNYであり、サザビーズのようなイギリス系企業です。
資本主義の現代において、主要なマーケットの潮流に乗っていくことができれば作品を流通させることができます。
これが根拠です。
さて、当時のぼくもそれなりに勉強はしていたのでアメリカやイギリスの留学を考えなかったわけではありません。
しかしこれほど明確に言語化して理解できていませんでした。
そのせいで目的と手段が入れ替わってしまいました。
当初は「アーティストとして成功するために留学したい」
と考えていたのに、いつの間にか
「留学すること」
を目的に行動するようになってしまいました。
そして候補になってきたのがドイツでした。
ドイツは大学の学費が外国人であっても無料であったり、奈良美智や塩田千春のような世界的有名アーティストも関わりの深い国です。
行くと決まれば、理由作りには困りません。
なんとでも言えるのです。
それこそ実力さえあればどこでも活躍できる世の中です(そもそも必ず留学する必要もない・・・)。
いまなら大学院へ進み、交換留学制度を使ってNYかロンドンへ行きます。
それが無理なら自費でもそうすると思います。
ロイヤル・カレッジ・オブ・アートなど魅力的ですね。
そうした留学経験を糧にアーティストとして活躍している方はいます。
同時期にドイツへ渡ってアート業界で順調な方は・・・もともと日本でも活躍していた方くらいですかね。
【レントゲンヴェルケ】池内さんに言われた一言「微妙だねぇ」
大学を卒業する頃、藝大の中で有志を募り「SOTTEN」という卒業制作展を行いました。
そこでゲストにギャラリストの【レントゲンヴェルケ】代表・池内務さんにきて頂きました。
その際に少し会話することができました。
ぼく「卒業後はドイツ留学に行ってきます」
池内さんは「そうか、がんばってね」的なことを言ってくれるかなと思っていましたが、返ってきたのは
池内「微妙だねぇ」
当時のぼくからは意外な一言でした。
あまりにも意外すぎてそのあと深い話をすることができませんでした。
そりゃあギャラリストからしたら「微妙」です。
今のぼくであれば「マーケットから外れているから微妙」とわかるのですが、当時は寝耳に水でした。
そして、そこに蓋をしてそのまま旅立ちました。
気づかないようにしていたところはあります。
もはやベルリンの住むところも決めていて、語学の勉強も1年間以上取り組みサンクコストはかなり積み上がっていました。
【ドイツ留学】のメリット・デメリット
これだけ書いてきてなんですが、後悔はしていません。
ドイツ留学を決めたのは自分ですし、たくさんの得るものがあったからです!
ドイツ留学で得たもの・メリット
・自己理解が深まった(語学力・行動力・作品力・内省力・方向性)
・多様な価値観を実感
・日本の外の視点を得た
・歴史の重要性を実感
・ベルリンのアートシーン、ドイツの芸術への価値観を知れた
・ヨーロッパの事情をざっくりと体感
・旅行と居住は全く違うことを知った
・移民や出稼ぎの多さに驚いた
・本物のアーティストとの出会い
ざっと上げただけでもこれだけあります。
1年とお金を300万円くらいかけましたが、十分なリターンはあったと思います。
ドイツ留学で失ったもの・デメリット
・マーケットに対するアドバンテージ(学歴・ブランド)
・お金300万円くらい
・時間1年間
ほとんどメリットですね(笑)
お金は日本学生支援機構の奨学金を満額借りてプールしたり、返金不要の奨学制度に応募して採用されたり、バイトして稼いだり、作品を売ったりして捻出しました。
おかげで社会人6年目で未だに、日本学生支援機構の奨学金・学生ローンはがっつりまだ12年分ほど残っています。毎月3万近く出ていくのは辛いですが・・・。
これだけのものを得られたのは、自分の意思で留学を希望しそのための準備を必死にやったからでもあります。
これが単に親族の支援によるものであったのならば、もちろん感謝はしたと思いますが、ここまで必死にやらなかったと思います。
そして、ドイツ留学を選んだことを悔やんでいたと思います。
誰かの参考になれば嬉しいです。
それではまた!
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