【完全版】杉本博司が案内する日本の名建築|美術史と茶室と数寄屋

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こんにちはtomoです。

「Casa BRUTUS特別編集 【完全版】杉本博司が案内する おさらい日本の名建築」がKindle Unlimitedで出ていたので朝から読み耽っていました。

結論、かなり充実した内容だったので記事にまとめていきます!

利休や茶室、数寄屋について、勉強していきたい人には導入にちょうど良い教材です。

しかもこれがKindle Unlimitedで読めるとは・・・。お得すぎます!

Kindle Unlimitedはご利用されていますか?

もしまだなら、ぜひ検討してみてください!

この雑誌1冊でも買ったら1170円するので、1冊で元取れちゃいます。

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この記事を読んでほしい人

・綺麗な建築とかめっちゃ気になる人

・美術史、建築史を勉強したいな〜と思っている人

・アーティスト杉本博司が好きな人

Casa BRUTUSの雑誌は毎号Kindle Unlimitedで読めます。

ぼくは必ずチェックしています!

この記事を読むメリット

・杉本博司についてざっくりわかる

・日本の美術史において茶や利休の立ち位置が重要なことがわかる

・日本の文化人が茶道を重要視する理由がわかる

tomotomo
改めましてこんにちはtomoです!
画歴20年の画家で、現在は高校美術教師をしています。
東京藝術大学を卒業し、ドイツで現代アートを学んできました。
今回は世界的に活躍するアーティスト杉本博司が特集された雑誌を紹介・解説していきます!

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世界的アーティスト「杉本博司」概要

1948年東京都御徒町生まれ。

1970年にロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学ぶ。

74年よりニューヨーク在住。

日本の古美術品や民芸品を売る古美術商ギャラリー「MINGEI」を当時の配偶者・杉本絹枝と1978年秋にソーホーに開業した。

ギャラリー閉店後も古美術の取引自体は1997年まで続け、現在に至るまで日本の古美術の収集を続けており、日本の古美術・古建築・古典文学への造詣が深い。

2009年に高松宮殿下記念世界文化賞、2010年に紫綬褒章、2013年にはフランス芸術文化勲章オフィシェを受章。2017年、文化功労者。

「杉本博司」初期3部作

〈ジオラマ〉シリーズ

《ホッキョクグマ》1976年
©HIROSHI SUGIMOTO/COURTESY OF GALLERY KOYANAGI
《最古の人間の親戚》1994年
©HIROSHI SUGIMOTO/COURTESY OF GALLERY KOYANAGI

自然史博物館の剝製と背景画でできた情景を大判カメラで撮り、まるで現実の風景のように見せています。

〈劇場〉シリーズ

カーペンターセンター、1993年
©HIROSHI SUGIMOTO/COURTESY OF GALLERY KOYANAGI

『劇場』シリーズは映画を上映中、ずっとシャッターを切らずに露光し続け映画終了後にシャッターを切るという作り方をした作品です。

ここに記録されているのは、表面的には真っ白なスクリーンと劇場内部の様子ですが、「時間」と映画の「物語」が記録されています。

〈海景〉シリーズ

カリブ海、ジャマイカ、1980年
©HIROSHI SUGIMOTO/COURTESY OF GALLERY KOYANAGI

人間の見ることのできる共通・普遍の風景を模索した結果、海の水平線へと至り、世界各地の海や湖で同じ風景を撮影してくるというシリーズが始まりました。

『海景』のシリーズは「人類が最初に見た風景は海ではなかっただろうか」「古代人の見た風景を現代人が同じように見ることは可能か」という問いを立てています。

「建築」をテーマにした作品

〈数理模型〉シリーズ

Surface of Revolution with Constant Negative Curvature, 2006
©HIROSHI SUGIMOTO/COURTESY OF GALLERY KOYANAGI
Onduloid: A surface of Revolution with Constant Non-Zero Mean Cirvature, 2006
©HIROSHI SUGIMOTO/COURTESY OF GALLERY KOYANAGI

19世紀から20世紀初頭にかけて、幾何学的なアイデアに実体を与えたいという願望が、数学者によって構想され、職人によって石膏で手彫りされた数学的モデルの作成につながりました。

数式をコンピューターに入力し、日本で最も先進的な工作機械を使って純アルミニウムで作成することで、数式を有形の物体に変換しました。

〈建築〉シリーズ

光の教会、1997年
©HIROSHI SUGIMOTO/COURTESY OF GALLERY KOYANAGI
「ル・コルビュジエの建築」1998
©HIROSHI SUGIMOTO/COURTESY OF GALLERY KOYANAGI

「建築」シリーズでは、有名建築を焦点を無限遠の二倍にして撮影するという手法を用いています。

さすがは名建築と言われるだけあって、ぼかしても建築の良さは減らず、むしろその強固な存在感が証明されるという逆説的な効果をもたらしました。

また、ぼやけたフォルムは建築家が頭の中で最初に構想したイメージを擬似的に追体験させてくれます。

ようやくここから雑誌の紹介です!

千利休は世界初のモダニスト

利休の生み出した「茶」の概念は、それまで一般的だった「書院の茶」を捨てて全く新しいものに組み直し他ものです。

茶器、茶屋など「茶」にまつわる全ての骨格を新たに組み直しています。

雑誌の中で杉本は千利休をデュシャンに通ずると比較をしています。

20世紀の西欧を待たずして16世紀ですでにモダニストだった点は日本文化において非常に重要です!

デュシャンがレディメイドを発明したように、千利休は茶室の床(とこ)に使う花入れを高価な船載品(はくさいひん)の青磁の花入れの替わりに、竹林から切り出した竹に単の切り込みを付けただけの竹筒でよしとした。そして茶を点てる場としての小さな草庵の茶室を考案する。

「Casa BRUTUS特別編集 【完全版】杉本博司が案内する おさらい日本の名建築」
「Casa BRUTUS特別編集 【完全版】杉本博司が案内する おさらい日本の名建築」

茶屋として有名なのは妙喜庵にある国宝「待庵」です。

わずか2畳の狭い空間に躙口(にじりぐち)という狭い入り口をもうけました。

壁は藁を混ぜた土壁で、床の間は天井と壁、廻り縁八柱が見えないように壁土を塗り回した「室床」となっています。

「Casa BRUTUS特別編集 【完全版】杉本博司が案内する おさらい日本の名建築」

茶器もあらゆるものを作り直しましたが、最も有名なのは長次郎楽茶腕です。

黒くぼってりとした野暮ったいフォルムは、それまでに良しとされてきた中国茶器とはまるで違う、千利休ならではのプロデュースでした。

なぜ日本の文化人は「茶」を重要視するのか?

千利休を端に発する岡倉天心の「茶の本」鈴木大拙による「禅」など、19世紀の時点で海外に英訳されて知らしめられた日本文化というものは、非常に強いメッセージと文脈を持って広がり根付いています。

この事実には2つの重要ポイントがあります。

まず、日本文化として誇るべき内容があるという点。

そして、日本文化の文脈を岡倉天心や鈴木大拙を海外の知識人がすでに理解しているという点。

特にこの2点目を踏まえた振る舞いをすることは、日本文化の発信・芸術に関わる上では外せないと言えます。

村上隆・杉本博司など世界的に活躍し続ける日本人アーティストはこの点を理解して、自身の作品の文脈に組み込んでいます。

まとめ:【完全版】杉本博司が案内する日本の名建築|美術史と茶室と数寄屋

今回は杉本博司が案内する日本の名建築の特集雑誌の紹介でした。

前半で「茶」や「数寄屋」について深掘りして紹介してくれています。

中盤は名建築のおさらい。

後半は杉本博司主催の小田原文化財団 江之浦測候所、新素材研究所(建築設計事務所)についてのこれまでの活動や作品がまとまっています。

作品の力と建築、芸術活動で、巨額の費用を注ぎ込み自分の興味関心を突き詰められるとは、まさに数寄者です。

建築についてざっとまさにおさらいすることもできる良本です!

ぜひ読んでみてください。

ではまた。

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