【はじめの一歩】東京芸大卒が教える「手のデッサン」のコツ7選

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こんにちはtomoです!

今回は「絵画の基礎講座」として「手のデッサン」について書いていきます。

ネットや書籍にも沢山情報が出ているメジャーなテーマですね。

よくある悩み・心の声

・知識や見本を見ても実践できない~

・もっとわかり易く教えてほしい!

・最速で上手くなりたいんだよ

・指導法を確認しておきたい!

デッサンは絵画やイラストの基礎なので、手のデッサンを授業であつかう機会は多いです!

中・高の美術の授業でもやったことのあるのではないでしょうか?

しかし・・・

「上手くいかなかった~」とか「これからやるので予習したい」などあると思います。

そうしたリクエストに応えていきます。

この記事を読むメリット

・デッサンの基礎的なコツを確認できる

・手のデッサンを「最速で上達する方法」を知れる

・デッサンの指導を体系的に確認することができる

tomotomo
改めましてこんにちはtomoです!
画歴20年の画家で、現在は高校美術教師をしています。
東京藝大日本画科を卒業し、ドイツで現代美術を学んできました。
日本最難関のデッサン試験を突破してきたので、実力は保証されています^^

今回は「手のデッサン」について書いていきます。

指導される機会、する機会も多いので、困っている人も多いと思います。

2015年制作 想定デッサン「石を持った手を描きなさい」※石は想像で描く

こんな感じの、美大デッサンみたいなものを参考にするとハードルが高いです。

また特有の「受験臭」が・・・つらいです(笑)

もう少し本質的なデッサン論を踏まえて、簡単にお伝えできれば、救える人がいるのではと思っています。

大前提【観察】が1番大切!

2021.4制作 

これは当たり前すぎて条件にすらあげませんでした。

とにかく【観察】が大切!

これは大前提です。

観察して何度も直していく。

目と手と脳をつなげていく訓練をする。

これがデッサンです。

ちなみにぼくの高校1年生の時のデッサンも載せておきます↓

2003年制作(高校1年生の頃)

やっていけば上手くなります。

それでは大前提から前提へ(笑)↓

【デッサン論】技術の押しつけはNGという話

これまで教えた生徒の中に・・・

「絵を描くのはどうしても苦手だ!」

という生徒がいました。

「描けない!描きたくない!!どうせおれは下手なんだ!!!」

ここまで言ってはいませんでしたが、彼の絵からはそう伝わってきました・・・。

「あ~、かなりトラウマ的な教育を受けたんだな」

と感じました。

デッサンも明確な「正解」があるような気がするので、つい技術を教えればそれなりになってくれる。

実際に多くの生徒は、それでそれなりに成果が出ちゃうんですね。

しかし、とりこぼされてダークサイドに落ちてしまう人もいるんです。

最終的には彼は美術ですごくいい成績を収めました(ぼくが点数をつけているのですが笑)

非常に伸びやかないい絵を描けるようになりました!

技術偏重の一様なデッサン勉強・指導は危険です。

この件を深掘りして、大事なポイントを紹介しています↓

≫【技術の押付けNG】デッサンを楽しむ方法|失敗しないポイント3選

デッサンの正解を「いくつか」持っておく

「受験」を目的に絵を描いている人ははたしてどれくらいいるのでしょうか?

さほどいないはずです。

「いい絵を描きたい」「趣味や教養のためにデッサンをしたい!」という人の学ぶべきデッサンは「受験デッサン」とは根本的に違うと思っています。

「受験デッサン」は、あくまで手段だからです。

出来上がったものに、感動することもありません。

せいぜいが「へ~上手いね」くらいのもんです。

ぼくは「感動するイラストや絵画」を描きたい人の目指すべきデッサンは、「受験デッサン」の先には無いのでは?

と思っています。

結局、作家としてやっていくためには、別なマインドセットを覚えなおす必要があります。

それはまた別の機会にということで。

それでは、正解を3つ用意しました。あくまで例です。

たくさんある正解のうちのたった3例と思ってください。

デッサンの【正解1】

これらも単なる受験デッサンとは一線を画しています。

こちらもピカソの作品。こちらも立派なデッサンです。

デッサンの【正解2】

銅版画を手がけているのもあって、描線が非常にわかりやすく美しいですね!

デッサンの【正解3】

佐藤忠良(彫刻家)のデッサン

彫刻家ならではの通称「ワイヤードローイング」が垣間見れます。

立体的に物を感じていることが見て取れます。

ちなみに、トラウマの例に出した子は、このようなワイヤードローイングが得意でした。

光と影による現象の描写では描けないものもあります。

tomotomo
まずは、最高レベルのお手本を見ておきましょう!
そうすれば雑多な情報に惑わされずにすみます。
ピカソやワイエスが参考にした教本も最後に紹介します。

正しい道具を準備する

鉛筆

鉛筆はドイツのステッドラー社の鉛筆を愛用しています。もしくは三菱のハイユニもいいですよ!

注意としては、シリーズとメーカーを揃えた方がいいことです。メーカーによって同じ2Bでも硬さや濃さが違います。

料理で鍋やフライパンを変えたりすると調味料の分量が分かりづらいですよね?

イメージ通りに進めるためには同じシリーズで揃えましょう!

練り消し

プラスチック消しゴムと練り消しの両方を使いましょう。

画用紙・スケッチブック

始めはスケッチブックを1冊買いましょう。

品質も低すぎず高すぎない(やや品質は高め)ものを載せておきます。

しっかりと仕上げれば販売にも耐えられる品質なので、適度に緊張感を持ててモチベーションが上がります。

自分の作風が掴めてきたら表現にあった紙探しの旅に出ましょう!

ガーゼ(無ければティッシュでも可)

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ティッシュよりはガーゼのほうが使い勝手がよいです!

グレースケールを用意する

これは自作したほうが勉強になります!

サイズはだいたいでいいので、ぜひ制作してみてください。

こんな感じにマスと立方体を作るといいです!

少し極端ですが、鉛筆3本あればデッサンは成立すると思っています。

その根拠がこのグレースケールです。

9色あれば相当な絵が描けるはずです!

メンタルを用意する

デッサンの要注意ポイント

・うまく描かない

・細かく描かない

・最初から強く描かない

最初のポイント

・うまく描かない

これは、「最高のお手本がプレッシャーすぎる!」「うまく描こうとして描けなくて絶望する」

なんてことにならないように、伝えています。

デッサンは一種の運動です。

目と手と脳の連携を強化していく。

これ、いきなりできるわけないですよね?

野球部の生徒に手のデッサンを描かせるといい絵を描くんです!

それって、どれだけ「目と手と脳の連携」しているかってことだと思いませんか?

骨格を意識する

これは要注意ポイント

・細かく描かない

につながるポイントでもあります。

手骨(シュコツ)とは - コトバンク
ソース

手をよーく観察します。

そして、動かしてみます。

単純な形に置き直してみることも大事です。

直方体、円柱の集まりで手はできています!

こうした手のモデルなども有効です↓

Amazon | 木製 デッサン ハンド モデル 手 マネキン ディスプレイ 参考デッサンカット付き (女性・両手) | モデル人形・手 通販

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ほとんど皆さん立派な腕がついていると思いますので、自分の手を観察しましょう!

骨格を参考にして、情報をうまく整理していくことです。

デッサンのための「正しい鉛筆の持ち方」をする

先程の要注意ポイントであげた・・・

・最初から強く描かない

ためには、優しく鉛筆を持つ「デッサン用の持ち方」をする必要があります。

①握手をするように利き手を出します

②人差し指と親指の間に鉛筆を置きます

③そのまま軽く握ります

④その状態で描いていきます!

非常に描きづらいと思いますが、そのうち慣れます。

むしろその描きづらさが大事です。

強く描いてしまうと、形の修正が難しくなってしまいます。

こんな感じに優しく描きます。

やわらい3B〜6Bくらいの鉛筆でささっと形を取ります。

「こすり病」にご注意を!

鉛筆で描いた画面を擦ると、「ぼかし」ができます。

これをうまく使うとしっとりとした「影の表現」がきれいにできて非常にプロっぽく仕上がります!

・・・しかし、これには罠があります(笑)

「ぼかす」と、なんとなくうまくいってる気がするんですよね〜。

これは気のせいです。

然るべきところに最低限使うからこそ「ぼかし」は効果を発揮します。

ついつい画面の全体を擦り始めて、じっとりした絵が出来上がる・・・といったことにならないようお気をつけください。

ぼくはこれを「こすり病」と呼んでいます(笑)

正しい順番でトレーニングする

まずは手を動かすことです。

そして、観察すること。

デッサンは「目と手と脳」の連携プレーです。

これまでに繋がっていなかった神経を開発していくような作業です。

そのための一連のトレーニングをリスト化しました↓

「手のデッサン」トレーニングメニュー

  • いくつかの正解(参考資料)を用意する
  • 道具を用意する
  • メンタルを用意する
  • 3分で1ポーズ練習してみる × 3セット
  • 30〜60分で本番のデッサンを1枚仕上げる
    ※その後、これを繰り返す

あくまで一例ですが、ぼくはこんな感じで授業を行っています。

知識だけでは意味がないし、あんまり練習しすぎても上手くはならないです。

本気で取り組む枚数の分だけ上達します!

まとめ:東京芸大卒が教える「手のデッサン」のコツ7選

色々と脱線もしてしまったのでしっかりとまとめていきます!

1 デッサンの正解を「いくつか」持っておく

2 正しい道具を準備する

3 メンタルを用意する

4 骨格を意識する

5 デッサンのための「正しい鉛筆の持ち方」をする

6 こすり病に注意する 

7 正しい順番でトレーニングする

以上です!

自分にとってデッサンがどれだけ大事か、記事を書いていて改めて感じました。

難しいけど、とっても大事で楽しくて本質的。

そんなデッサンの魅力に気づく前に挫折してしまう人を1人でも減らしたいです!

デッサンについてはまだまだ深掘りしていきます。

それではまた!

参考書籍

予告していた、ピカソやワイエスも参考にしてきた参考書です↓

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tomotomo
高いですが(笑)歴史的名著ですね

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tomotomo
こちらも高い(笑)でも今めっちゃ売れてる解剖学の参考書です!
内容の充実感半端ないです!イラスト、絵画どちらの方にも使える本です^^

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tomotomo
こちらは無料で読めます!Kindle Unlimited対応なのでぜひチェックしてみてください。
Kindle Unlimitedにまだ入っていない方は関連記事を見てみてください〜

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