【13歳からのアート思考】大人になるとできなくなる衝撃の理由とは?

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こんにちはtomoです。

「アート思考」という言葉を広く知らせた本「13歳からのアート思考」に着目して記事を書いていきます。

「技術・知識」に偏りすぎた美術教育を変えたい教員の方にもおすすめしたい良書です!

よくある悩み

・「アート思考」とはどういうことなんだろう?

・「アート思考」を生かすって難しそう・・・

・絵心とかないし、美術史の暗記とかも無理なんだよな〜

現代はVUCAの時代と言われています。

「VUCA」
Volatility(変動性・不安定さ)
Uncertainty(不確実性・不確定さ)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性・不明確さ)

もともと1990年代にアメリカの軍事領域において用いられてきた言葉です。

経済、企業組織、個人のキャリアにいたるまで、ありとあらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な状況にあります。

変化に対応していくために【アート思考】を取り入れる企業やビジネスマンが増えています!

この記事を読むメリット

・「アート思考」の概要がわかる

・「アート思考」の高め方がわかる

・絵を描かなくても、暗記しなくても「アート思考」は身に付くことがわかる

tomotomo
改めましてこんにちはtomoです!
画歴20年の画家で、現在は高校の美術教師をしています。
東京藝術大学では日本画を勉強し、卒業してドイツでは現代アートを学んできました。

「13歳からのアート思考」著者の末永さんも中・高で指導を行う教育者です。

ぼくも、アートを教えようとするとどうしても技術中心・暗記の指導になりがちで生徒がつまらなそう・・・という悩みがありました。

この本に出会って、問題と解決策が見えてきたので紹介していきます。

【13歳からのアート思考】興味のタネと探求の根こそ「アート思考」

「アートを植物に例える」と・・・

「アートという植物」は、3つの要素からできています。

表現の花:作品

興味のタネ:興味・好奇心・疑問

探求の根:作品が生み出されるまでの長い研究の過程

出典:13歳からのアート思考

注意しなければならないのは、空間的にも時間的にもこの植物の大部分を占めるのは、目に見える「表現の花」ではなく、地表に顔を出さない「探求の根」の部分です。

アート作品にとって本質的なのは、作品が生み出されるまでの過程の方なのです。

「美術」の授業で依然として行われている「絵を描く」「ものを作る」「作品の知識を得る」という教育は、アートという植物のごく一部である「花」にしか焦点を当てていないことになります。

美術館で作品を見ても・・・

「よくわからない」「きれい」「すごい」などしか言えない

「どこかで聞いたことのあるウンチクを語ることしかできない」

という悩みを耳にしますが、それは日本の教育が「探求の根」を伸ばすことをないがしろにしてきたからなのかもしれないですね!

「13歳」は分岐点「技術・知識」に偏りすぎている美術教育

出典:13歳からのアート思考

小学校の「図工」は第3位の人気を誇っているのですが、中学校の「美術」になった途端に人気が急落しているのが見て取れます。

小→中の変化に注目するなら、下落幅は全教科のなかで第1位。「美術」はなんと「最も人気をなくす教科」なのです。

だとすると、「13歳前後」のタイミングで、「美術嫌いの生徒」が急増している可能性は十分に考えられそうです。みなさんにも思いあたることがありませんか?

末永 幸歩. 「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.63-67). Kindle 版.

「評価基準」がよくわからないのに低い点をつけられた。

上手い子と比べて自分が下手すぎて嫌になった。

など色々と出てきます。

ぼくも、日々現場で見ていてどうしても技術的な「上手さ」にとらわれて、整った形でないと恥ずかしいと思っている子が多いように感じます。

これは大人になるにつれて徐々に増していく傾向があります。

大人になると作る機会は減り、観ることに専念し始めます。

そして、たくさん見ているが故にハードルは高く、自分の技術のなさに愕然とする・・・。

なんてことが起きている場面に何度か遭遇したことがあります。

ぼくの授業では、さまざまな素材を使った授業を展開しています。

初めての素材(ガラスや樹脂などであれば苦手意識も薄いです)を使ったり、恥ずかしいとか思ってる暇がないくらいのテンポで色んな課題を与えたりなど工夫していたりします。

私たちは「1枚の絵画」すらもじっくり見られない

絵をじっくり観ることは、大人になるにつれて難しくなっていきます。

「すべての子供はアーティストである。問題なのは、どうすれば大人になった時もアーティストのままでいられるかだ」

これはピカソの有名な言葉です。

「絵を観ることくらい、簡単だろう!」

そうですよね。すみません・・・。

それではさっそくやってみましょう!

次の絵を美術館に行ったつもりになって鑑賞してください。

どうでしょう?

あなたはどんな感想を抱いたでしょうか?

「さすがミレーの絵は詩的だな」

とか

「オルセー美術館かいつか行ってみたいな」

などでしょうか?

ここで1つ、ぼくから質問です。

あなたは先程の絵で「絵を見ていた時間」「解説文を読んでいた時間」どちらが長かったでしょうか?

おそらくほとんどの人が「解説文を読んでいた時間」の方が長かったのではないでしょうか?

もしくは、「鑑賞?面倒だな」

と思って飛ばしてしまった人もいるかもしれません。

作品をじっくり鑑賞することは実はすごく難しいのです。

とくに大人になってしまうと、なまじ字が読めたり知識があるものですから、タイトルや制作年や解説文を読んでなんとなくわかった気になり満足してしまう。

じっくり鑑賞しよう!と思っても他のことを考えてしまったり、なかなか集中してその絵の世界に浸っていくということはできません。

13歳からのアート思考の中ではモネの「睡蓮」を例に鑑賞の課題があります。

ぜひ挑戦してみてください。

「自分なりのものの見方」を手に入れる


先日、小学生を招いての公開授業で先程の「晩鐘」を使って鑑賞授業を行いました。

小学2年生くらいの男の子が

「犬がいた」

「楽しそうだった」

という感想をくれました。

皆さんは犬を見つけられたでしょうか?

・・・実は絵の中に犬はいないのです。

それでも、その子の目には犬が見えたのでしょう。

皆さんはどう思ったでしょうか?

「くだらない」

「子供だねぇ」

そう思う方もいると思います。

しかし、これこそが本来の意味での「アート鑑賞」だと思うのです。

大人になると、つい「正解」を探し出そうとしてしまいます。

この男の子は、「自分なりのものの見方」で作品をとらえ「彼なりの答え」を手に入れています。

ここで重要なのは「正解」ではなく「自分なりのものの見方」ができているかどうかです。

正しいこと常識・正論などの「正解」は数字やロジックによって速度の差はあれど誰でも辿り着けるものです。

しかし「自分なりのものの見方」とはオリジナルなんです。

そして現代ではそうしたオリジナルな価値観を持っている人がビジネスや人生を成功させています。

誰でも辿り着ける「正解」や「最適解」に残念ながら価値はないんです・・・。

「自分なりのものの見方」「自分なりの答え」を作ることが現代では求められます。

まとめ:興味のタネと探求の根こそ「アート思考」

今回は【13歳からのアート思考】を紹介しつつ、アート思考とはなんなのかということに迫っていきました。

また、大人になったことで鑑賞の難しさも改めて感じていただけていたら幸いです。

ここに、いま大人が美術を学びなおすべき理由があります。

少し耳の痛い話だと思いますが、自戒も含めてあえて問います。

「一枚の絵画」すらもじっくり鑑賞できなくて「アート思考」ができると思いますか?

「アート思考」とは「自分なりのものの見方」で世界を観察し、興味のタネを見つけて探求の根をじっくり時間をかけて伸ばしていくことです。

その結果として、オリジナルの「表現の花」が咲くのです。

【13歳のアート思考】の中には6つの20世紀を代表するアート作品を通じて例を示してくれています。

ぜひ鑑賞と思考を行って「アート思考」を身につけていきましょう!

結果としてよくわからなかったとしても、繰り返し行っていくことで精度は高まっていきます。

それこそ体調のいい日、悪い日があるように、「アート思考」できる日とそうでない日はあるはずです。

学んで行動して人生を豊かにしていきましょう!

それではまた!

こちらでもアート思考について詳しく説明しています↓